毎月、IT関係やネットビジネスに関する節税法について書かせて頂いておりますが、一口に節税と申しましても、戦略(大きな方向性)と戦術(テクニック)が必要になってきます。

これは何でもそうですが、いくら細かなテクニックを知っていても、大きな方向性が違っていては、効果は半減してしまいますので、今回はその根本部分についてお話させて頂けたらと思います。

少し難しい話になって恐縮ですが、まずビジネスをしていく上で、企業をとりまく法律には大きく分けて3つあります。

一つ目は「金融商品取引法(旧証券取引法)」、二つ目は「会社法」、そして「税法」です。

ケースによって一概には申せませんが、ビジネスを始められたばかりの中小企業さんや個人事業主さんにとって、金融商品取引法と会社法は、実際に展開をしていく段の話になりますので、当初より注意が必要なのは恐らく税法でしょう。

つまりどの事業主さんでも、「対税務署」ということを意識して、ビジネスをしていく必要があるということです。

日頃から

「○○の場合、どのような処理をすればよいでしょうか?」

といった流れの質問をたくさんいただくのですが、それらの質問の回答を考えるには、その質問が「何(どこ)に対するものか」を意識することが非常に重要になってきます。

例えば上場企業であれば、日々の会計処理から作成される決算書は、広く一般に公開されますので、会計学的に正しい必要がありますが、中小企業等にとって自社の決算書を誰が見るかということを考えてみますと、社長(事業主)本人、税務署、顧問税理士、ぐらいでしょう(あと融資等を検討しておられる場合は銀行でしょうか)。

この事から考えると、先程も申しましたが、ビジネスを始めたばかりの頃や中小企業の間は、税金に関しては「対税務署」を意識する必要がありますので、会計学がどうのということより、税務署が見て問題の無い処理をする必要があります。

ということは、提出した申告に対して、税務署が意見を言ってくるのは基本的に税務調査の時ですから、それを見越した処理を日頃からしておく必要があるわけですが、無料相談会などでお話をお伺いしていてよくある間違いが

「確定申告(決算)を目的として日頃の処理を行っている(行おうと思ってらっしゃる)方が非常に多い」

ということです。重ね重ねになりますが、日頃の税務処理の目的は、申告書を提出することではなく、「税務調査で否認されないこと」です。申告のために処理をしていると調査で失敗します。

弊社は税務調査対策にも非常に自信を持っていますので、口コミを聞かれてご相談に来られる方も多いのですが、先日もご報告に来ていただいた方は、税務調査が入って、日頃から申告や節税をお願いしていた既存の税理士さんに対応をお願いしたところ、2,000万円の追徴課税を払うよう言われたとのことで、どうにかならないかとお知り合いを通してご相談に来られたんですが、通常、調査が入ってから税理士が替わりますと、税務署が警戒し、逆にお客様側のデメリットが増える可能性もありますので、そのタイミングではお受けしておりません(調査前か、調査後、次の調査に向けては可能です)。

ただその時は、日頃からご紹介者さんにお世話になっていたこともあり、特別に社長さん御本人から直接お話を聞かせていただき、既存の税理士さんの顔も潰さぬよう、その方に直接

「こういう時にはこう答えて下さい」、「こう言われた時はこう対処して下さい」と

アドバイスをさせて頂いていたのですが、その通りに対応されたところ、結果的に2,000万円だった追徴額は、60万円で済んだとのことでした(この60万は、領収書に個人の買い物が混じっていたとのことで、御本人も納得して払われました)。

税理士自体は国家資格ですが、節税や税務調査は、学校で習ったり、試験科目にあるわけではなく、税理士や会計士自身が、独立後にどれだけ日頃から研究し、情報収集や人間関係を作っていくかで、スキルに雲泥の差が出てきてしまいますので、仕方がないと言えばそうなのかも知れませんが、実際に現場ではそういったことが頻発しています。

少し話が脱線してしまいましたが、これは「戦術」のみを使って「戦略」がズレていた良い例でしょう。ネットを見ていても、節税に強いという税理士さんや会計士さんは多いですが(弱いですと自分で書く人はいないでしょうが……)ホームページを見ただけでは、実際どうなのかは判断が難しいと思います。

一つの方法としては、いくら節税スキルがあっても、今回のように税務調査対策が出来なければ全く意味がなく、そのままいけば1,940万円の追徴を払わされる可能性があったということですので、
これでは仮に税理士の月額費用が安かったとしても、トータルで考えると意味がありません。つまり、節税と税務調査の両方に長けているか、事前に相談される際はそれを確認するということです。

(強いかどうかを聞くのではなく、なぜそういう対応をされているのか等、具体的な理由を 何社かに聞いてまわって比較されるのが無難でしょう。比較を勧める税理士も珍しいかも知れませんが、 弊社はスキルに自信を持っていますので、契約を迫ることもありませんし、比べて頂いて全く問題ありません)

弊社のクライアント様の場合は、我々が全力で利益をお守りさせて頂きますが、個人の方や他の税理士さん、会計士さんに依頼をされている方は、なかなかそうもいかないでしょう。

そこで、最低限ご自身で対策をされる際に重要ポイントとしては、正しい会計処理に力を注ぐことではなく、税務署に何かを突っ込まれた時のために、日頃から準備をしておくということ、つまりこれが「戦略」の部分です。

そして誰でもすぐに出来る戦術(テクニック)としては、領収書を切ってもらった時に、宛名や但し書きだけでなく、どういった理由で申告の際に経費として計上するのか、具体的に空きスペースへ書き込んでおくということです。

例えば

日本ITビジネス会計株式会社様

2,0000円

飲食代として

とだけでなく、空いたスペースに、

・何で支払ったのか(現金?クレジットカード?等)
・誰と、どういう理由で、飲食をしたのか(山田さんと、SEO対策のことで打ち合わせ 等)

を忘れない内に書き込んでおくことで、数年後に税務調査が来た時にでも、それを伝えることが出来ます(通常は「何のために使ったんですか?」と聞かれても、覚えていないでしょうから……)

その他、「約束事は契約書を交わし証拠を残しておく」など、客観的な証拠を残しておくことが非常に大切になってきますので、日頃の税務処理は、申告が目的なのではなく、調査対策を目的として行うよう心がけて下さい。

今回はほんの一例でしたが、今後もメルマガにて、その他の対処法等についても、わかりやすくご紹介出来たらと思っております。
(2012.5.10)