弊社のクライアントさんには、ホームページやブログ、メルマガ等に広告を載せて収入を得られている、いわゆる「アフィリエイター」の方もたくさんおられ、中にはテレビやマスコミ等でも有名な方や、本を出版されている方々もいらっしゃいますが、よく、毎月行わせていただいている無料相談会や、メールでのお問い合わせで多いのが、特に確定申告前に、納税のことで税務署へ問い合わせに行ったところ
「アフィリエイトに経費なんてないよ、と言われたのですが本当ですか?」
というものです。
まず、最初にお伝えしておくと、税務署の職員さんというのは、税法の試験を受けられているわけではなく、単なる公務員さんなので、回答が必ずしも正しいとは限りません。あとその方が「アフィリエイト」と聞いて、どれだけご存知だったかも疑わしいところでしょう。
もちろん、アフィリエイトにも経費として計上できるものはたくさんありますので、今回はそんなアフィリエイトの税金、特に申告する際の経費について、解説してみたいと思います。
アフィリエイトの「経費」ってなに?
よくご相談をいただく中で多いのが、
「パソコン等は経費に出来るかなと思うのですが、○○についてはどうでしょう?」
という質問です。
つまり経費のなかには、イメージとして明確に経費とわかるものもあれば、経費になるのかどうか、よくわからないものもあるかと思います
(パソコンを経費として計上する場合の具体的な方法については、以下の「高額なモノを購入した場合の経費処理について」で解説いたします)。
なのでまずは、そもそも経費とはどういうものを指すのかを見ていきましょう。
他記事でも何度か取り上げていますが、所得税法を確認すると、経費とは
総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用
(所得税法第37条第1項より一部抜粋)
とあります。
要するに、アフィリエイトを行う上で直接関連のある費用=経費となります。
では、具体的にはどんなものが経費になるかというと、
●経費として考えられるもの
- ネット通信費
- 電気代
- サーバー代、ドメイン取得費用
- アフィリエイトに関する本やセミナーの参加費
- ASPから報酬が振込まれるときに差し引かれる振込手数料
- 情報収集目的のアフィリエイター同士のオフ会の会費や、そのための交通費
- 記事にするために購入した物品
一般的に、こういうものはアフィリエイトの経費として認められるでしょう。反対に、非常にあからさまな例ですが……、実際にあった間違い例で言うと、以下のようなものはもちろん経費にはなりません。
- 事業に関係のない集まりでの飲食代
- 整体院の治療代
- 記事に直接関係しない物品の購入
これらは当然、経費として認められません。
この辺りは分かりやすいので、ほとんどの方が理解されると思うのですが、次に、間違いやすいものや、判断に困るものについて見ていきましょう。
日常生活でも利用しているものを経費として計上する方法は?
例えば、アフィリエイト専用のオフィスなどを借りている場合を除いて、自宅でアフィリエイトをされている方も多いかと思いますが、その場合には、ネット通信費や電気代など日常生活でも利用しているものについては、その100%を経費に計上するのではなく、事業で使っている割合を計算し、その分だけを計上する必要があります。
その際のポイントとしては、後に税務署から、なぜその割合としているのかを指摘される場合がありますので、割合を計算する際には、必ず「時間」や「面積」などをもとに計算するなど、その割合についてある程度合理的に説明ができるよう、根拠を明確にしておくことがとても重要です
(例えば時間を根拠とする場合、一日あたり2000円の通信費がかかっているとすると、12時間をアフィリエイトの作業に使っているので、半分の1000円を経費として計上する、といった方法です)。
購入した物品を経費とする場合のやり方は?
これもよく相談を受ける部分なのですが、物品の購入については、まず「アフィリエイト記事などとの関連性がポイント」となります。
少し詳しく説明すると、例えばカバンを購入して、そのカバンを持った写真を単にSNSにアップしたというだけでは、経費とは考えにくいかもしれません。
アフィリエイトはあくまで広告収入を得ることが目的ですので、カバンの写真だけでは、アフィリエイトとの関連性が低いと判断されても仕方がないでしょう。
しかし、例えば見た目や使い勝手についてレビューをし、購入を誘導しているなど、アフィリエイトのために購入したということをなるべく明確に示すことで、経費と考えられる可能性は高くなります。
この辺りは、実は明確なラインがあるわけではなく、例えば税務調査が入った時に、税務署の調査官は、自分の成績を少しでも上げようと、「これは経費として認められません!」と当然言ってくるでしょうし、そこでどれだけ客観的な根拠を提示しながら太刀打ちして、追徴課税されないように出来るのかが、税理士のスキルの分かれるところなのですが、
過去にIT関係やアフィリエイトのなどのネットビジネスの税務調査に多数立ち会ってきて、クライアントさんのお金をお守りしてきた経験から申しますと、もしご自身で対策をされる際に重要なポイントとしては、
「物品=経費 or 経費ではない」
と形式的に考えるのではなく、
- その物品が実際にどのように利用されていて
- どのようにアフィリエイトに関連しているのか
それらを考え、それを説明できるだけの客観的な資料や証拠を予め揃えておくことが、もし税務署から指摘をされた時の対処法となります。
なので買った時の領収書はもちろん、その経緯や販売ページ、その流れなど、資料はしっかりと残しておくようにしましょう。
高額なモノを購入した場合の経費処理について
経費を考える場合、知っておくべきこととしては、10万円以上のモノは減価償却資産となり、全額を一括で経費とすることができず、定められた耐用年数に応じて、少しずつ経費にしていくことになりますのでご注意下さい(※青色申告の場合は特例で30万円まで一括で経費にすることができますが、合計額に上限があります)。
例えば、アフィリエイトに不可欠なパソコンの場合で考えてみましょう。
7月に16万円でパソコンを購入したとします。
パソコンの耐用年数は4年となっていますので、4年間かけて少しずつ16万円を経費にしていくことになるのですが、1年目は丸12ヶ月ありませんので、
16万円÷4年×6ヶ月/12ヶ月=2万円
が初年度の必要経費となります。
続いて2年目は、
16万円÷4年×12ヶ月/12ヶ月=4万円
が経費となり、16万円分すべてが経費として計上されるまで、毎年少しずつ計上していくことになります。
ただし、アフィリエイト以外にも利用しているパソコンの場合には、「2.日常生活でも利用しているものを経費として計上する方法は?」の考え方を参考に、事業に使用している割合分を計算して、それを計上するようにしましょう(※減価償却にはいろいろな方法がありますが、ここでは単純に定額法で説明しています)。
アフィリエイトの経費についてまとめると
ここまでアフィリエイトの経費について解説してきました。
非常に基本的なことですが、それだけでも「アフィリエイトに経費なんてないよ」という税務署の回答とは裏腹に、さまざまな経費を計上することができることがお分かりいただけたかと思います。
更に突っ込んだお話をすると、アフィリエイトは物販などのビジネスモデルのように原価がないため、売上規模が大きくなっても、必要経費全体の金額は大きく変わらないと思われている方も多いようですが、それは適切な節税対策が考えられていない場合の話です。
段階としては、
まず個人でされている方の場合は、必要経費を適切に計上することが節税の第一歩になりますので、「そんなの当たり前のことでしょう」とおっしゃる方は多いですが、実際に弊社へご相談に来られる人の資料を拝見していると、きちんと計上できている方は非常に少ないのが現状ですので、まずは仕事で使ったものはきっちりと経費に計上することが大切です。
それでも尚、税金が高いと感じられる場合には、法人を設立し、個人事業ではできない節税対策を行うことで、更に節税をすることが可能になります。
この辺りは、その方の環境やビジネススタイル等によって個々に変わってくるものですので、弊社に限らず、特にネットビジネスの節税に強い専門家に、一度ご相談されてみて、シミュレーション資料を出してもらうのも効果的でしょう。
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろんご相談頂いても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。