せどりや転売の税金

ここ数年、インターネットを使った仕入れシステムや、またヤフオク、AmazonFBA、メルカリなどの販売プラットホームが簡単に使えるようになり、本業、副業のネットビジネスに関わらず、書籍やDVD、ゲームソフト、家電やカメラなどの国内せどりの他、

中国のタオバオやアリババから仕入れる輸入転売ビジネス、その他、欧米のAmazonやeBay、BuyMaなどを使った転売物販ビジネスなどを始められる方が急速に増えており、弊社のクライアント様の中でも、それらのパイオニアの方を含めて、非常に多くの方がいらっしゃいます。

ただ、気軽に始めたものの、いざ利益が上がると税金のことについては考えておられなかった方も多いようで、毎月行わせて頂いている無料相談会や、メールや電話での問い合わせでも、せどりや転売についての質問をよく頂きます。

長年、それらの申告や税務調査に携わっていますと、一般ビジネスの確定申告や調査とはまた違った、ネットビジネス特有の、税務署がみているポイントや、共通点と言いますかクセのようなものがよく分かってきます。

今回は、そんなせどりや転売ビジネス、物販の税金について、基本的なことから順に解説していきましょう。

 

どの金額に税金がかかるの?

実際に確定申告を行うにあたって、せどりや転売ビジネスで上がったどの金額に対して税金がかかってくるのかですが、非常に基本的なことですけれども、ご相談を伺っていると、例えば「収入」や「所得」、「売上」や「利益」などの認識が、ゴッチャになっておられる方が結構おられます。

そもそもここで言う「収入」とは、せどりや転売による「売上」のことです。

つまり、「収入=売上」と考えて頂いて構いません。

一方で所得とは、その売上から、商品の原価や梱包費、郵送費などの経費を差し引いたもので、税金というのはこの「所得」に対してかかってきます。

せどりや転売物販の確定申告をしなくても良い人とは?

どの金額に税金がかかってくるのかが分かった上で、では確定申告が必要な人とそうでない人の違いについてですが、税法上の原則として、所得がある人はみな確定申告をしなければなりません。

その上で、不要になる条件が以下になります。

所得が0もしくはマイナスの場合

先ほどお伝えした通り、税金は収入ではなく所得にかかるものですので、所得が0もしくはマイナスの場合は申告する必要はありません。

ちなみに、後にお話しますが、せどりや転売を事業として行っている(事業所得として申告している)方で、青色申告をしている場合は、所得がマイナスでも、確定申告をすることで、3年間の損失繰越が可能になりますので、その場合はしておく方が得だと言えるでしょう。

38万円未満や20万円以下の所得は申告不要って聞くけど?

また、その他の確定申告が不要になる条件として

「その年中の所得の合計が、全ての所得控除額の合計額より少ない者」

というものがあります。

この所得控除とは、社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除などのことを言いますが、その中には基礎控除という、誰でも控除することが可能な所得控除があります。

この基礎控除の金額が38万円のため、一般的に専業であれば、38万円を超えなければ申告は不要ですよとよく言われるわけです。

一方で、「20万円以下の所得は申告不要です」といった内容を目にすることもありますが、実はこれは正確ではありません。

これは会社員の中で、更に年末調整のみで納税手続きが完了している方だけの特例になります。

つまり、サラリーマンであっても、

  • 年収が2,000万円を超えている
  • 2ヶ所以上から給与の支払いを受けている
  • 医療費控除や住宅ローン控除を受けるため確定申告をしている

といった方は、年末調整で納税手続きが完了しませんので、この特例の条件に該当せず、例えせどりや転売ビジネスの所得が1円であっても、確定申告をしなければ申告漏れということになります。

転売やせどりで必要経費として認められるものは?

税金は売上や収入ではなく、所得額にかかるということは、なるべく経費や控除が多ければ、税金のかかる金額が少なくなるわけですので、日頃のご相談でも

「転売ビジネスをやってるんですけど、何が必要経費になりますか?」

といった質問をよく受けます。

ちなみに税法には、具体的にコレとコレが経費と書かれているわけではなく、所得税法第37条一項には、

総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用 (所得税法第37条第1項より一部抜粋)

とあり、要するに今回の場合ですと、

「せどりや転売ビジネスを行う上で直接関連のある費用については経費として認められる」

と解釈できます。

ただ、この「直接関連のある」というのが大事なポイントで、非常に曖昧なことから、強引に経費として計上しようとされる方も多く、税務署からよく指摘を受ける箇所です。

もちろん、正当な場合は根拠を元に主張をすれば良いのですが、判断基準としては

  • せどりや転売ビジネスに対する関連性
  • せどりや転売ビジネスに対する必要性

について、主観にならず、客観的にみて、社会通念上通るかどうかで判断されてみると良いでしょう。

そこに無理があったり、強引な理由だと、税務署から指摘をされ、場合によってはペナルティの税金を課せられる可能性もありますので、十分注意するようにして下さい。

尚、せどりや転売ビジネスに関する経費については、以下に更に詳しくまとめてありますので、あわせてご覧下さい。

関連記事>>>『せどりや転売の税金の申告では何が必要経費になる?』

転売ビジネスやせどりには、いくらぐらい税金がかかるの?

せどりや転売ビジネスの所得額が分かったら、どのぐらいの税金がかかるかですが、税率を判断するためには、せどりや転売での所得の他に、同じ分類である総合課税の所得全てを合算した所得額を、以下の表に照合して判断することになります。

例えば会社員の方の場合、お給料(給与所得)も総合課税とう税金になりますので、それとせどりや転売の所得額を合算し、その合計額を以下の表に照合して判断します。

税率

尚、弊社のクライアント様の中には、せどりや転売などのネットビジネスと弊行して、FXや仮想通貨などのトレードをされている方も多くいらっしゃいますが、海外業者を使ったFXや仮想通貨取り引きなどは、同じ雑所得ですので合算しなければなりません。

但し雑所得であっても、国内の業者を使ったFXや日経225先物など、総合課税ではなく、分離課税となるものについては合算できませんのでご注意下さい。

せどりや転売は何所得として申告するの?

では確定申告の際、何所得として申告すべきかですが、所得の種類に関しては後ほど解説するとして、結論から申しますと、個人事業の場合、一般的には「事業所得」、もしくは「雑所得」だと考えられます。

ではその違いについて見ていきましょう。

雑所得とは?

まず雑所得についてですが、税法上は

雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。

引用元:国税庁ホームページ「1 雑所得とは」

とあります。

他の9種とありますが、税法上、個人に入ってくるお金は、

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 譲渡所得
  8. 山林所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

という10種類の所得に区分されますが、雑所得とは、雑所得以外の9つの所得に該当しないものと定められています。

事業所得とは?

一方で事業所得とは、

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。 ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。

引用元:国税庁ホームページ「1 事業所得とは」

と定められており、要は事業として行ったもので収益が上がった場合には、事業所得になるというわけです。

雑所得と事業所得はどう違うの?

ではこの2種類の内、どちらで申告をすれば良いかですが、事業所得として申告した場合は以下のメリットがあります。

損益通算が可能になる

「損益通算」とは、利益と損失を通算(合算)できるということです。

つまりある事業で赤字が出た場合は、他の所得と相殺することが可能になります。

例えば年収250万円の会社員の方がせどりを始めて、その収入が100万円あったとしましょう。

そのために使った経費が200万円の場合、雑所得だと赤字計上できませんので、

(250万円(給与所得)+0円(雑所得))×10%(所得税率)=30万円

になりますが、これが事業所得で申告した場合、

(250万円(給与所得)+100万円(事業所得)−200万円(必要経費))×5%(所得税率)=7.5万円

せどりの収入を損益通算して余った残りの100万円を、会社の給与から引くことが出来ますので、所得税は150万円にしかかからず、上記の税率表に照合すると、雑所得では30万円ですが、事業所得だと7万5000円で済むことになります。

青色申告が出来る

次に、事業所得の場合は、事前に手続きをすることで、通常の白色申告ではなく、青色申告が出来るようになります。

青色申告だと、最大65万円の控除を得ることが出来るようになり、それを収入から引くことが出来ますので節税に繋がりますが、条件として複式簿記が必要となり、申告が複雑になりますのでご注意下さい。

赤字を繰り越すことが出来る

損益通算のところでもお話しましたが、雑所得だと他の所得(上記の場合は給与所得)と相殺できませんし、その赤字を翌年に繰り越すことも出来ません。

事業所得だと、経費を多く使って赤字が出た場合など、他の所得と相殺しても尚、赤字が残っている場合は、翌年の所得から差し引くことが可能になりますので、結果、翌年の税金が減ることになります。

じゃぁ雑所得より事業所得の方がお得じゃない?

これらの条件を見ますと、雑所得よりも事業所得で申告した方が有利だと思われますので、相談会でも「事業所得で申告します」とおっしゃる方がおられますが、残念ながら事業所得で申告するには幾つか判断基準があり、充たしていないのに事業所得で申告をしてしまうと、税務署から指摘を受ける可能性が高くなります。

事業所得になる判断基準とは?

国税庁が出している基準としては、

  1. 営利性・有償性があるかどうか
  2. 継続性・反復性があるかどうか
  3. 事故の危険と計算における事業遂行性があるかどうか
  4. 精神的・肉体的労力の程度はどうか
  5. 人的・物的設備の有無はどうか
  6. 本件貸し付けの目的はどうか
  7. 請求人の職歴・社会的地位・生活状況等はどうか

引用元:国税不服審判所

と記されています。

詳細は上記のリンク先をご覧いただくとして、これまで実際に、ネットビジネスに関する税務調査に立ち合ってきた現場の経験から申し上げますと、気を付けるべき判断基準としては、

  1. 対価を得て継続的に行っているかどうか
  2. 事業的規模であるかどうか

この2つが重要な判断基準であると言えます。

1.は、一時的なものではなく、継続して行っている事業かどうかということです。

2.については、事業規模と呼べるような規模で行っているかどうかですが、その判断基準の目安としては、

「その収入で生活しているかどうか」

があげられます。

以前、相談者さんから聞いた話で、ネット上には裏ワザ的な節税法として、例えば会社員の方の年収600万円だとして、副業で経費をいっぱい使ってわざと赤字にし、それを事業所得として申告して、お給料の税金を還付(返して)もらえば良いといった内容があったりするようです。

これらは専門家からすろと、明らかに現場を知らない素人が頭で考えた内容だと思われますが、一般的に開業当初は、初期投資で赤字になることも多くありますけれども、このような状態が長く続くと、上記の2つの基準と照らし合わせても、それを事業と言えるのかという疑問が出てくるでしょう。

なので現実には税務署から指摘をされ、

「事業所得として認められないので雑所得として申告しなさい」

と言われ、ペナルティーの税金まで課せられる可能性が高いと言えます。

そうなっては節税の意味も全くありませんので、素人のいい加減な情報に惑わされることなく、しっかりと判断した上で申告を行うようにしましょう。

関連記事>>>『危険!延滞税や無申告加算税などペナルティの税金の種類と内容とは?』

雑所得と事業所得、青色申告と白色申告の判断基準について

ここまで、雑所得と事業所得、青色申告と白色申告の違いについて解説してきましたが、以下のフローチャートに簡単にまとめていますので、概ねこの図にそって判断していけば良いでしょう。

せどりや転売の税金

海外と取引をされている方はご注意を!

ここまで個人の方の一般的な税務申告について解説してきましたが、一口にせどりや転売と言ってもその定義はまちまちだったりします。

中でも、中国や欧米などから商品を仕入れたり、また逆に、海外の販売チャネルを使われている場合などは、円換算や消費税の還付、関税についても考える必要が出てきますので、該当される方は以下をご参照下さい。

《関連記事》

『転売ビジネスや海外アフィリエイト等の正しいドル円換算の仕方とは?』
『プロが教える!輸入転売や輸出の消費税還付のやり方と注意点とは?』
『輸入転売で避けては通れない関税とその税務処理の正しいやり方とは?』

せどりや転売ビジネスの具体的な確定申告のやり方

ここまでせどりや転売の税金について解説してきましたが、確定申告のやり方や、申告書の具体的な書き方については、以下の記事にまとめてありますので、こちらをご参照下さい。

関連記事>>>『せどりや転売ビジネスの確定申告のやり方完全版!専門税理士が解説』

収益が増えてきたら法人化で節税も?

今回は個人事業の方の税金について解説してきましたが、せどりや転売ビジネスの売上が増えてきた場合には、会社を設立して法人化をすることで、より節税を行うことが可能になってきます。

法人化と言っても、今は手間もほとんどかかりませんし、弊社の場合ですと、顧問契約をされる方は会社設立にかかる手数料は弊社が負担致しておりますのでさほどかかりません。

もちろん誰でも得になるわけではありませんので、興味のある方は、以下はフリーランスの方向けに書かせて頂いた記事ですが、法人化のメリットやデメリットについても事前に知っておくようにしましょう。

関連記事>>>『事前に知るべき!フリーランスが法人化するメリットとデメリットとは?』

まとめ

今回は、せどりや転売などの物販ビジネスの税金について解説してきましたが、最近では簡単に取り組むことが出来るようになった分、実は税務署も目を光らせている業態だったりします(実際に内部文書が回っています)。

「ネットビジネスだから少々はバレないだろう」

と思われている方がたまにおられますが、逆にネットビジネスは記録がネット上に残る分、むしろ税務署は把握しやすいのです。

指摘をされてペナルティーを課せられていては、本来納める必要のなかった税金まで徴収されてしまいますので、そんなことのないよう、事前にしっかりと準備をしておくようにしましょう。

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