この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
ネットビジネス専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
有名YouTuberの他、せどりや転売・物販、アフィリエイトなど、各ネットビジネス界のパイオニアらの税務顧問を多数担当。マスコミ実績多数。
自身も業務でネットを活用することで、北は北海道から南は沖縄の離島まで多くのクライアント実績を持つ。
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弊社は、IT関係やネットビジネスに強い会計会社(税理士事務所)として、それらの税務申告はもとより、節税対策や税務調査対策にも力を入れておりますので、クライアント様の中には、欧米のAmazonやeBay、BuyMaの他、中国のアリババやタオバオ等から商品を仕入れて、ヤフオクやAmazonFBAなどを使って転売ビジネスをされている方も多くおられます。
そんな輸入転売ビジネスを行う中で、皆さん経験される事柄として、海外から商品を仕入(購入)する際に、通常は商品ごとに関税と消費税がかかるのですが、中にはこの関税と消費税がかからない場合があり、毎月行わせて頂いてる無料相談会でも、
「今回、関税がかかっちゃったんですけど、関税って掛かる時と掛からない時があるんですかね?」
と質問されることがあります。
結論から申しますと、これはある一定の条件を満たす場合には、関税と消費税が免除されるという規定があるためなのですが、この一定の条件とは果たしてどのようなものなのか、今回は輸入転売ビジネスをされている方が気になる、「少額貨物の無条件免税規定」について解説してみたいと思います。
尚、そもそも関税とは何なのかといった基本的なことが気になる方は、以下の記事をご参照ください。
関連記事>>>『輸入転売で避けては通れない関税とその税務処理の正しいやり方とは?』
輸入の関税が免除される!?免税規定を定めた関税定率法とは?
そもそも関税とは、外国から輸入される製品に税金を課し、日本の産業を守ることを目的としたものであり、税金である以上、関税に関することは法律でしっかりと定められています。
関税に関する法令には、「関税法」、「関税定率法」、「関税暫定措置法」などといったものがありますが、冒頭でお話した関税と消費税が免除される規定については、「関税定率法」の中で定められています。
ちなみに、「関税定率法」では免税規定の他に、課税物件(=どのようなものに関税を課すのか)や、課税標準(=税金を計算する上で基礎となる課税対象のこと。なお、金額だけとは限りません。)、税率についても規定されています。
1万円以下は関税がかからない!?少額貨物の無条件免税規定とは?
それでは今回の輸入転売ビジネスの関税について、本題に入りましょう。
よくネット上などで「1万円以下は免税」といった書き込みを目にすることがあります。
なんとも漠然とした表現ですが、関税定率法第14条には、関税が免除される無条件免税というものがあり、同条第18号に規定された少額貨物の無条件免税規定が、この情報の根拠となります。
(無条件免税)
第十四条 次に掲げる貨物で輸入されるものについては、政令で定めるところにより、その関税を免除する。十八 課税価格の合計額が一万円以下の物品(本邦の産業に対する影響その他の事情を勘案してこの号の規定を適用することを適当としない物品として政令で定めるものを除く。)
引用:関税定率法より
つまり、課税価格の合計金額が1万円以下で、この規定を適用しないと定められたもの以外の物については、基本的に関税と消費税が免除されることになります。
なお、この免税規定が適用されない主なものとしては、
- 革製のカバン
- ハンドバッグ
- 手袋等
- 編物製衣類(Tシャツ、セーター等)
- スキー靴
- 革靴及び本底が革製の履物類等
があります。
課税価格の合計金額が1万円以下とは?
では、「1万円以下は免税」の根拠がわかったところで、次は何が1万円以下であればいいのかが気になるところかと思いますが、条文には「課税価格の合計金額が…」と書かれています。これは一体何のことなのでしょう?
まずは課税価格ですが、価格という言葉がついているので「商品代金が1万円ってことでしょ?」と思った方もいるかもしれませんが、実はそうではありません。
課税価格とは、関税をかける対象となる価格(課税標準となるべき価格)のことで、基本的には商品代金を基準に計算されますが、イコール商品代金ではありません。
具体的には、仕入書(インボイス)の価格に、日本に到着するまでの運賃や保険料、その他の手数料などを加えた金額が課税価格となります。
※上記は最も基本的な課税価格の考え方です。実際の課税価格の決定は複雑なため割愛さえていただいておりますことを、ご了承ください。
次に合計金額ですが、これは何の合計かというと、1つの包装に入っている商品の合計金額のことを指しています。
これを聞くと、
「それじゃあ包装をいくつもに分けて、1つあたりの課税価格が1万円以下になるようにすれば、関税と消費税はかからないのでは…」
と考える方がいるかもしれませんが、それは通りません。
関税定率法基本通達では以下の通り、通常1つの包装で送られてくるような物が2つ以上の包装に分割されている場合には、無条件免税の規定は適用しない旨が記載されていますのでご注意ください。
ただし、通常同一包装により送付されてくるような物品が 2 以上に分割包装されて、同一時期に、又は短期間内に数次にわたり、同一贈与者(単に形式的に近親者等の別名義を用いている場合を含む。)から同一受贈者(単に形式的に近親者等の別名義を用いている場合を含む。)に対して寄贈される場合等においては、本号の適用はない。
引用:関税定率法基本通達14-21(2)ただし書き以下より
まとめ
今回は、輸入転売ビジネスで関わってくる、関税の免税規定の1つである「少額貨物の無条件免税」について解説致しました。
ちなみに、前項でも少し触れましたが、この規定を利用して関税を逃れてしまおうと考えても、税関は、輸入者の名前や電話番号で、履歴をすぐに検索できる様にデ-タを蓄積しており、例えば、30万円の商品を同じ日、同じ週、同じ月などに30回に分けてきてもすぐに見つかり、場合によっては加算税(ペナルティー)の対象となります。
そんな悲惨なことにならないよう、通関手続きは適正に行うようにしましょう。
関連記事>>>『危険!延滞税や無申告加算税などペナルティの税金の種類と内容とは?』
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろんご相談頂いても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。