領収書をスキャナー保存最近では、ペーパーレス化やデジタル化が進んでおり、Kindleなどで読むデジタル書籍の他、企業でも書類をデジタル保管したりなど、その波がドンドン拡がってきていますが、その影響は実は税務の世界にも及んできています。

例えば、領収書等の保存について言えば、元々弊社の場合ですと、確定申告や決算の前に、

「あ〜、今年もそろそろ領収書の整理をしなければ……」

「記帳を全然してなかった〜」

などと、税務作業に思考や時間を割いて頂くことなく、安心して本業に専念いただけるようにとの思いから、面倒な領収書の整理や記帳作業まで、全て当方でやらせて頂いておりますので、

お客様の作業としては、領収書や銀行の通帳コピーを郵送でそのまま送って頂いたり、スキャナーやスマホのカメラで取り込んでいただき、メールやチャットワークでデータを送って下さる方が多いのですが、最近では、スキャンアプリやクラウドサービス等も普及してきて、書面ではなく「データで保存しておく」ことが注目されてきています。

但し、それを行うには幾つかポイントを押さえておく必要がありますので、今回は、領収書などをデータで保存できる「国税関係書類に係るスキャナ保存制度」の改正について解説していきたいと思います。

 

領収書をスキャン保存できる?「国税関係書類に係るスキャナ保存制度」とは?

国税関係書類に係るスキャナ保存制度(以下、スキャナ保存制度)とは、契約書や領収書、請求書、見積書などの国税関係書類について、従来は紙の状態で保存していたものを、スキャナで取り込み電子データとして保存することができるようにした制度です。

国税関係書類については、原則7年間の保管が法律で義務付けられています。

スキャナやアプリの進化により、書類を電子化することが容易になった今では、税務に必要な領収書等を紙で保管することにストレスを感じる方もおられるようですが、実はスキャナ保存制度自体は平成17年4月の電子帳簿保存法の改正により導入された制度で、それほど目新しい制度というわけではありません。

では、なぜ世間にスキャナ保存制度が浸透していないのでしょうか?

その理由について、次章で見てみましょう。

実は要件の厳しい?スキャナ保存制度の実態

スキャナ保存制度が浸透していなかった理由の1つとして、その厳しい要件が考えられます。

どのようなものだったかと申しますと、

  • まず、対象となる文書については、領収書、契約書、見積書、納品書などのうち、記載金額が3万円未満のものとされていました。
  • スキャナについても、原稿台と一体となった機器でのスキャンに限定されており、受領者の受け取った領収書等を、経理担当者が固定型スキャナーでスキャンする必要がありました。
  • スキャンデータについてはカラーでのスキャンが必要であり、さらに、解像度、階調、大きさの情報を保存し、誰がスキャナ保存をしたのかの電子署名を付与した上で、財団法人日本データ通信協会が認定するタイムスタンプが必要になりました。
  • また、中小企業基本法で定める小規模企業者の場合には、受領者、経理担当者、検査担当者による3名のチェック体制が必要でした。

ザッとご紹介しただけでもややこしいですが……、これらの厳しい要件をクリアして初めてスキャナ保存が可能となるため、制度としては存在していたものの、まだまだ実用的ではなかったと言えるのではないでしょうか。

事実、国税庁発表のデータでは、この制度が始まってから平成26年度末までの累計承認件数は、たった152件にとどまっています。

平成28年度の税制改正でどう変わった?

前章で見たような状況を改善するため、平成28年度の税制改正ではスキャナ保存制度の要件の大幅な緩和が行われました。

どのような要件緩和が行われたかと申しますと、

  • まず、今まで記載金額が3万円未満の領収書、契約書、見積書、納品書などとされていた対象文書の記載金額の制限がなくなり、すべての領収書等についてスキャナ保存が可能になりました。
  • スキャナについても、原稿台と一体となった機器でのスキャンに限定されていた要件が廃止され、スマートフォンやデジタルカメラでの読み取りも対象となりました。
  • スキャンデータについても書類の大きさ情報の保存が不要となり、白黒での保存も可能となりました。
  • これにより、今まで経理担当者がスキャンしていたものを、領収書等の受領者がスキャンを行った上で、特に速やかに(3日以内)タイムスタンプを付与する流れに変わりました(スキャナ保存をした者の電子署名も不要となりました)。
  • また、中小企業基本法で定める小規模企業者の場合、受領者、経理担当者、検査担当者による3名のチェック体制が必要だったものが、税務代理人がチェックを行うことにより、企業側の従業員と税務代理人の最低2人体制でスキャナ保存が行えるようになりました。

この要件緩和により、制度が始まってから平成26年度末までで152件にとどまっていた累計承認件数は、平成28年度末までで1,050件と約7倍に拡大しています。

スキャナ保存制度を利用するための条件について

このようにして、平成28年度の改正で便利になったスキャナ保存制度ですが、誰もが勝手にこの制度を利用できる訳ではありません。

スキャナ保存制度を利用するためには、事前に所轄税務署長への申請が必要になります。

また、実際に制度が利用できるようになるのは、申請をした日の3ヶ月後からになりますので、注意が必要です。

関連リンク>>>『国税庁ホームページ:国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請』

まとめ

ここまでお伝えしてきたように、当初に比べると、大分使いやすくなってきたイメージのスキャナ保存制度ですが、重要なことは、経営において税務処理や会計処理は第一義ではないということです。

冒頭でも少し述べました通り、まず行うべきはお客様に喜んでいただいて、売上や利益を上げるということです。なので、

  • 経理担当者がいる
  • タイムスタンプ等の導入コストを考えてもメリットがある

など、そこそこの規模の会社であれば、検討してみられるのも良いでしょうし、個人事業主の方や少人数で経営されている会社さんの場合は、わざわざ導入するよりも、その部分は専門家に丸投げして、その分のパワーを上記の営業活動に注がれる方がメリットがあると言えるかも知れません。

これからも益々電子化の波は進んで行くかと思いますが、特に税務に関しては、ご自身や御社にとって、どのようなサービスを使うことが一番メリットになるかという観点から、導入されるサービスや制度を検討されるのも一つだと言えるでしょう。

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