年内に必要経費として使う

確定申告の時期が近づいてくると、それらに関する問い合わせも増えてくるのですが、自営業の方や、副業としてIT関係やネットビジネスをされている方から、この時期にほぼ毎年寄せられる質問に、

「どうせ税金で持っていかれるのなら、年内に何か必要なものを経費で買ってしまおうと思ってるんですが……」

というのがあります。

ただ、何も知らずに買ってしまうと、残念ながら今年の経費として計上することができなかったりと、結局は節税にあまり繋がらなかったというケースも起こり得ますので、今回は節税対策として、年末に必要なものを購入する場合の注意点について解説したいと思います。

 

10万円以上のモノは減価償却が必要!

まず、金額に関してですが、10万円以上のモノは減価償却資産となり、全額を一括で経費とすることができず、定められた耐用年数に応じて少しずつ経費にしていくことになります
(※青色申告の場合は特例で30万円まで一括で経費にすることができますが、合計額に上限がありますので注意が必要です)。

例えば、せどりやアフィリエイトなど、インターネットを使ったビジネスの場合、新しいパソコンを買われる方が非常に多いのですが、パソコンの耐用年数は4年となっていますので、例えば16万円のパソコンを購入した場合には、4年をかけて少しずつ16万円を経費にしていくことになります
(厳密に言えば「減価償却には定額法と定率法があり…」と話がどんどん複雑になってしまいますので、ここでは単純に定額法で説明します)。

初年度は注意!実は1/4すら経費にならない?

上記の場合、16万円の1/4、つまり「4万円が経費になるならいいか……」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は年末に駆け込みで買った場合には、この4万円すら実は経費にはならないので特に注意が必要です。

初年度に関しては、所有していた月数で4万円を按分しなければなりませんので、実は年末に駆け込みで買った場合には、最終的に今年の経費に計上できる金額は4万円の1/12、つまり約3,000円程度しか経費には計上出来ないのです。

つまり、近々購入しようか迷っているものを、年内に購入して経費にしようと考えておられる方は、「10万円未満」というラインを考えておかないと、思ったほどの節税効果が得られないということになってしまうので注意が必要です。

パソコンのパーツ毎に購入すれば10万円未満になるので大丈夫?

この話をしますと、中には、

「製品版のパソコンを購入すると、10万円を超えて減価償却をしなければいけないので、10万円以内で部品をそれぞれ買ってきて、パソコンを自作しようと思ってます」

という方も過去におられました。

つまり、パソコンもCPUやグラフィックボードといった1つ1つのパーツは、10万円未満のものも多いので、それらを購入してきて、全て今年の経費で落としてしまおうという考えなわけです。

果たしてこれは可能なのでしょうか?

察しの良い方はもうお気づきかもしれませんが、このように通常パソコン1台という単位で初めて事業の用途に使えるといったモノの取得価格を、いくら部品毎に購入して自作したからと言って、パーツ単位に分解して考えることは残念ながらできません
(※ただし、現在使用中のパソコンのハードディスクが壊れたので、ハードディスクを単体で購入し交換したといった場合は別です)。

この場合、通常1単位として取引されるものは、その単位ごとに取得価格を判定することになります。

CPUやグラフィックボードは単体で機能するものではなく、パソコンという単位で機能するものですから、そのパソコンのパーツの合計額が、10万円未満になるかどうかで判定しなければならないのです。

これら少額の減価償却資産の取得価格については、所得税、法人税とも以下のとおり規定されていますので、調査などで指摘をされて知りませんでしたではもちろん通りません。

このように、減価償却一つをとっても税法はとても細かくかつ複雑に規定されているのです。

(少額の減価償却資産又は一括償却資産であるかどうかの判定)
49-39 令第138条又は第139条の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。(昭51直所3-1、直法6-1、直資3-1、平11課所4-1改正)

引用:「所得税法基本通達」より

(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
7-1-11 令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》又は令第133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。(昭45年直審(法)58「2」、昭49年直法2-71「7」、平元年直法2-7「二」、平10年課法2-7「六」により改正)

引用:「法人税法基本通達」より

必要経費を計上する際の注意点について

ここまで、年末に必要経費を計上する際の注意点について解説してきましたが、必要経費に関する詳細については、他の記事にもまとめてありますので、興味のある方はそちらもあわせてご覧下さい。

【関連記事】
『ネットビジネスで計上できる必要経費と注意点を税理士が解説!』
『合ってる?副業の経費を適切に計上して節税する5つのポイントとは?』

まとめ

先ほども書きましたが、せっかく貴重な時間を裂いて確定申告を行ったものの、上記のような間違いは「知りませんでした」はもちろん通用せず、後で税務署から指摘をされ、本来納める必要のなかった、以下のようなペナルティの税金まで払うことになるケースもあり得ますので、もし不明な点があれば、弊社に限らずネットビジネスや節税、税務調査に強い税理士や、最寄りの税務署などに、事前に確認をされることをお勧めします。

関連記事>>>『危険!延滞税や無申告加算税などペナルティの税金の種類と内容とは?』

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