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消費税の還付申告

実店舗やネットショップでの卸や物販の他、Amazonやヤフオク、楽天市場、メルカリなどを使った転売ビジネスをされている方の中でも、最近では国内せどりだけでなく、欧米のAmazonやeBay、BuyMa、また中国のタオバオやアリババなど、海外へ商品を輸出して、消費税の還付を受けておられる方も多いかと思います。

実際に弊社のクライアント様の中でも、ここ数年で一気にその数が増えました。

ただ、この消費税の還付を受けるための要件というのは、実は法律で細かく決まっていて、必要になる書類についても明確に定められています。

なので当然、税務調査などの際にそれらの書類が揃っていないことがわかれば、還付が受けられない可能性もありますので、必要な書類をしっかりと保管しておくことは、非常に重要なポイントだと言えるでしょう。

そこで今回は、消費税の還付をする上で、消費税法上必要な資料とは何なのかについて、解説してみたいと思います。

 

そもそも消費税の還付とは?その仕組みについて

物販や転売ビジネスをされている方は通常、モノを販売した時には売上と一緒に消費税を預かり、一方で、商品を仕入れたり、経費を支払ったりした時には、その料金と一緒に消費税を支払っているわけです。

そしてこれら、預かった消費税と支払った消費税の差額を納付するというのが消費税の原則的な考え方になります。

ただ、海外に販売した場合には、日本の消費税はかかりませんので、売上と一緒に預かった消費税は0となり、一方、国内で支払った仕入や経費には消費税が含まれていますので、その差額はマイナスとなり、その分の消費税が還付されるという仕組みです。

この預かった消費税から支払った消費税を差し引くことを「仕入税額控除」と言うのですが、仕入税額控除を受けるためには、消費税法に定められた厳しい要件をクリアしなくてはなりません。

仕入税額控除を受けるための要件とは?

その厳しい要件とは、消費税法の第30条で定められていて、仕入税額控除を受けるために、帳簿等に記載しなければならない事項から、保存すべき資料まで、実に細かく記載されています。

以下、消費税法第30条の該当箇所から一部を抜粋しますが、非常にわかりづらい表現になっていますので、要点のみ知りたい方は引用箇所を飛ばしてお読みください。

(仕入れに係る消費税額の控除)

第三十条 事業者が、国内において行う課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の第四十五条第一項第二号に掲げる課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額、当該課税期間中に国内において行つた特定課税仕入れに係る消費税額及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物につき課された又は課されるべき消費税額の合計額を控除する。

7 第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

8 前項に規定する帳簿とは、次に掲げる帳簿をいう。
一 課税仕入れ等の税額が課税仕入れに係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているもの
イ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ 課税仕入れを行つた年月日
ハ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ニ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額

9 第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。
一 事業者に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項が記載されているもの
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ 課税資産の譲渡等の対価の額
ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

二 事業者がその行つた課税仕入れにつき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類で次に掲げる事項が記載されているもの
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ハ 課税仕入れを行つた年月日
ニ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ホ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額

引用:消費税法第三十条より一部抜粋(カッコ書きは除く)

いかがでしょうか。難しい言葉が並んでいますよね……?

このままだと分かりづらいと思いますので要点をまとめますと、仕入税額控除を受けるためには、帳簿と請求書や領収書を保存しておかなければならない。

そして、帳簿には「代金を支払った相手先の名称、日付、商品やサービスの内容、支払い金額」を記載しておかなければならず、請求書や領収書には「書類作成者の名称、日付、商品やサービスの内容、支払い金額、代金を支払った者の名称」が記載されていなければならないということです。

間違いやすいポイント「クレジットカード明細ではダメ!?」

消費税の還付申告をされている方の中で、仕入れや経費の処理をクレジットカード明細から行っていて、うっかり領収書をなくしてしまった、という方がおられます。

クレジットカード明細でも、どこにいくら支払ったのかが確認できるので問題ないと思いがちですが、消費税で仕入税額控除を受けるためには、商品代金の支払いを受けた者の作成した書類(つまり、請求書や領収書など)の保存が必要なのです(先ほど、「経費と控除の違い」と言ったのはこの部分のことです!)。

つまり、クレジットカード明細はカード会社が作成した書類であり、消費税法第30条で保存が義務付けられた書類には該当しないため、仕入税額控除の適用が認められず、消費税が還付されない可能性があるのです。

なので、消費税の還付申請をされる方は、必ず領収書を保管しておくようにしましょう。

まとめ:消費税の還付申告や控除はその後のことまで考えておく必要がある!

ここまで消費税還付の要件について細かく説明してきましたが、実は今回の本題は、

「なので皆さん上記のことを覚えておいて下さい」

ということではありません。

もっと重要なこととして、現場のリアルなお話をしますと、実は消費税を還付してもらうような申告書を提出すると、税務調査等が行われるケースが非常に多くありますので、ただ申告書を提出するだけでなく、後々の税務調査を視野に入れた準備が必要になるということなのです。

なので、ネット上にもよくある「消費税の還付申告は難しくありません」といった謳い文句の情報だけで安易に申告し、後から税務署から指摘をされて面倒なケースにならないよう、現実問題として注意する必要があるのです。

税務調査対策については、一概にどうすれば良いとはここではとても書き切れず、また税理士試験に出るものではありませんので、税理士や会計士であっても、実はそのスキルに非常に大きな差が生じる部分でもあります。

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なので弊社にも、消費税の還付申告をしたところ、税務署から申告内容について指摘を受け、ご相談に来られる方が結構おられまして、税務署からの指摘をクリアするためには、特に消費税の還付申告の場合、申告書の「提出前」に税務調査を視野に入れた処理や資料の用意をしっかりとしておくことが、実は重要になってきます。

そう書くと、もう還付はやめておこうかなと思われる方がおられるかも知れませんが、取引が大きくなるに連れて、やはり無視できない金額になってくるかと思いますし、事前にちゃんとした対策をしておけば、何も恐がることのないものですので、もし海外との取引をされていて、消費税を還付してもらおうと考えているけれど、今まであまり深く考えたことがなかったという方は、弊社に限らず、消費税のことは元より、輸出入転売やネットビジネス、また税務調査に強い専門家に、事前に相談しておかれることをお勧め致します。

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