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アマゾン

最近では、海外からのネット仕入れなどが簡単に行えるようになったこともあり、せどりや転売ビジネス、その他、物販をされている方が増えて来ておりまして、弊社のクライアント様の中にも多くおられます。

中でも販売チャネルとして、Amazon出品サービス(小口、大口を含む)を利用している方、そしてフルフィルメントby Amazon、いわゆるFBAを使われている方も多くおられますが、そんなAmazonの消費税の処理が、平成27101日を境に大きく変わりました。

実はここは大きな落とし穴で、プロの税理士や会計士でもよく理解しておられない方が多かったため、顧問契約をして依頼をしていても、後に税務調査で指摘をされ、ペナルティーを課せられるといった事例が実際に全国で起きています(改正は平成27年ですが、現在もまだ対処されていない方は危険ですのでご注意下さい)。

また、Amazonは個人でのネット販売に比べて集客力が高い上に、特にFBAだと入金処理や発送処理も自動で行えるため、非常にありがたいシステムですが、その分そこそこの「手数料」がかかってきますので、適切に処理していないと、利益を圧迫してしまうことにもなりかねません。

今回の消費税の改正は、この「手数料」に関するものですので、きちんと処理しておけばお得にもなりますし、反対に知らずに放っておくと、税務署に狙われやすい非常にリスクの高いポイントですので、今回はAmazonの手数料や消費税について解説していきます。

 

Amazonの手数料に消費税は課されていなかった!

まず、平成27年の改正前までの話ですが、実はAmazonの手数料には消費税は課せられていませんでした。

というのも、Amazon出品サービスを提供しているAmazon Services International, Inc.は米国の法人であるため、その手数料には消費税が課税されていなかったのです。

そもそも消費税は、日本国内での消費に対して課税される税金ですので、米国法人であるAmazon Services International, Inc.の場合は関係なかったというわけです(恐らくアマゾン側は、それを分かって敢えてそうしていたのでしょう)。

ここで何が問題かと言うと、少しイメージをして頂きたいのですが、税理士や会計士と話をする際、税金の事は詳しくても、「仕入れた商品はマーケットプレイスとFBAに出品していまして〜」と言って、普通に通じる方がどれだけおられるかです。

つまり、個人で分からず申告をされていた方の他にも、依頼を受けて申告を行っていた税理士や会計士が、Amazonの出品サービスはどの国の企業が行っているかを知らなかったがために、申告の際に、他の業者(例えば国内業者であるヤフーオークション等)と同じ処理をAmazonでも行ってしまっていたとしたら、もちろんそれは間違いになりますので、税務署から指摘をされて、ペナルティーを払わされることになるということです
(これは同業者を批判するつもりではなく、実際に起きていることです。ちなみに税務署というのは、「ここは確実に指摘できる!」というポイントを見つけると、そこを重点的にして、順番に調査に入るケースが非常に多くあります)。

消費税法の改正によってAmazonの受ける影響とは?

ところが、平成27年に「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」が行われ、Amazon出品サービスもこの改正の影響を受けることとなりました。

端的に言うと、平成27930日までは、Amazon出品サービスの手数料には消費税が課されていませんでしたが、同年101日からは、同じ手数料なのに消費税が課されることになったのです。

これに伴って、平成27年の8月にはAmazon.co.jpに商品を販売している出品者を対象に、

【重要】2015年の税法改正による、販売手数料などサービス料の消費税の扱いについて

という件名のメールが送られてきました。内容としては、

 2015年の税制改正により、国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直しが行われました。

従来は、消費税法施行令第6条第2項第7号により、サービス提供者の本店所在地が米国であることから、国外取引として不課税取引としていました。

今回の税制改正に伴い、2015101日以降のご利用分よりAmazon.co.jpの出品サービスにおける販売手数料等について出品者様へ消費税をご請求させていただきます。

課税対象となる販売手数料は、月間登録料、販売手数料、カテゴリー成約料、基本成約料、その他返金手数料、大量販売手数料などの、Amazon出品サービスに関してAmazonが請求するサービス料が該当します。

ただし、スポンサー プロダクトなど、一部の広告サービスについては、事業者向け電気通信利用役務の提供に該当しますので、消費税の請求はありません。

また、フルフィルメントby Amazonの手数料はすでに課税対象になっていますので、2015年の税制改正による変更はありません。

となっており、Amazon出品サービスに関して、Amazonが請求するサービス料(月間登録料、販売手数料、カテゴリー成約料、基本成約料、その他返金手数料、大量販売手数料などの販売手数料)に消費税が課税されると明記されています。

ちなみに、FBAの手数料については、アマゾンジャパン・ロジスティクス株式会社(現:アマゾンジャパン合同会社)という日本の法人が提供しているサービスですので、この改正以前よりその手数料には消費税が課税されており、今回の改正の影響は受けません。

具体的に申告の処理はどう変わるの?

さてここからが問題ですが、手数料に消費税が課税されることになると、申告の際に何が変わるのでしょう?

まず消費税の計算は、売上と一緒に預かった消費税から、仕入や経費と一緒に支払った消費税を控除して計算することが基本です。

つまり、今まではAmazonの手数料(以下、出品サービスに関するもので、今回の改正に該当する手数料とします)には、消費税が課税されて(含まれて)いなかったため、Amazonの手数料分の消費税を控除することが出来ませんでしたが、平成27101日以後は、今まで消費税の計算をする際に控除できなかった、Amazonの手数料分の消費税が控除できるようになります

逆に平成27930日までの消費税の計算をする際、Amazonの手数料分の消費税を控除してしまっている場合には、本来納めるべき消費税額が足りていない恐れがあります。文末の「既に改正されているから問題ないはアウト!」をご覧下さい)。

但し全ての手数料が控除できるわけではない?

ここからはアマゾンだけに関わらず、全般のお話ですが、前述の通りAmazon出品サービスの手数料は、消費税の計算をする際に控除することができるようになったわけですけども、これは全ての国外事業者に対して当てはまるわけではありません。

今回の改正内容は「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」であり、今やクラウドサービスなど、インターネットなどを介して国外の事業者がサービス(役務)を提供しているケースは多いと思います。

今回はAmazonを例に説明しましたが、この改正は他の国外事業者も該当することになりますので、申告の際には気を付ける必要があります。

ただ、それにも関わらず、消費税の計算をする際に、手数料に係る消費税が控除出来ないケースがあるというのはどういうことでしょうか。

実は国外事業者へ支払った手数料などの消費税を控除するためには以下の2つの条件があり、国外の事業者から発行された請求書や明細書に、

  1. 登録国外事業者の「登録番号」が記載されていること
  2. 「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」が記載されていること

が必要になります。

1番目については、国外事業者が日本の国税庁に登録を行っているかどうかなのですが、登録された国外事業者であれば発行された明細書や請求書に登録番号の記載があるはずですし、登録国外事業者については国税庁のホームページでも確認することができます。

登録国外事業者名簿
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/cross/touroku.pdf

2番目の「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」の記載についてですが、これは簡単に言えば、登録国外事業者が日本の消費税については、当方で納税しますよという意思表示がされているかどうかということです。

意思表示と言われてもピンと来ないという方のために、Amazonの手数料明細を例にとって具体的に見てみますと、Amazonの手数料明細の最後の方に、

Amazon Services International, Inc.は消費税法における「登録国外事業者」ですので、

上記Amazon.co.jpの出品サービス(電気通信利用役務の提供)における販売手数料等の

サービス料に対して、消費税の納税義務があります。」

と記載があり、これが2番に該当します。

ただ、国外事業者によってはこのような明確な記載がないケースもありますので、そういった場合には、請求書や明細書等の記載内容から消費税を納税する意思表示を判断することになります。

既に改正されているから問題ないはアウト!

ここまで、Amazon出品サービスの消費税について解説してきましたが、毎月の無料相談会やメール問い合わせなどで勘違いされている方が多いのが

「もう改正されたのだから特に問題ないですよね?」

という意見です。これは大きな間違いで、非常に危険です。というのも、税法改正の効力自体が改正前にまで影響することはありませんが、指摘をされる税務調査に関しては、数年前のものまで遡って調査に入られるのが通常だからです(多いのは3年分ぐらいをまとめて入られます)。

また、弊社はネットビジネスの税務調査の実績も多数ありますが、ネットビジネスの調査は通常のそれとは異なり、IT関係やネットのことに非常に詳しい「専門調査官」というのが同行してきますので、一般の税理士や会計士では、その分野では恐らく太刀打ち出来ません。

つまり、そうやって平成27年9月30日までの消費税の処理を間違えたままにしておくと、「延滞税」や「過少申告加算税」という本来払う必要のなかったペナルティーの税金を課されることになるのです。

正しい対処法とは?

そんなことにならないために、どうすれば良いのかですが、まずは「一刻も早く修正申告を自主的に行う」ことです。

実はこの「自主的に」と「一刻も早く」というのがポイントで、税務署から指摘をされる前であれば、延滞税は課税されても、過少申告加算税は免れることが出来ます。ただし、税務署から指摘をされてから修正してもどちらも課せられてしまいますので、その前に、こちらの方から修正申告をする必要があるというわけです。

確かに、消費税の申告は複雑な部分がありますので腰が重いかも知れませんが、もし分かりづらい場合は弊社に限らず、それらの内容に詳しい専門家が周りにいらっしゃれば早々に聞いてみられて、一刻も早く申告を済まされることをお勧めします。

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