副業

最近ではインターネット環境が整ったり、海外との取引がやりやすくなったこともあり、サラリーマンや主婦の方でも、気軽にサイドビジネスを始められる方が増えています。

ただ、気軽に始められる方は多くても、税金のことまで考えた上でスタートされる方は少ないのか、毎年確定申告シーズンになると、無料相談会やメールでのお問い合わせでも、

「税金のことは全くの素人で分からないんですが……」

「私も確定申告をする必要があるんでしょうか……」

といったご相談をよく受けます。

もちろん、確定申告が必要な方がしていなかった場合、「よく分からなくて、申告が必要だとは知りませんでした……」は税務署には通じませんので、ペナルティーを課せられるケースもあり、それでせっかくの利益を失っていては、何のために副業をやっているのか分からないでしょう。

また、事前に知っておくことで節税に繋がったり、税務署対策を行うことも出来ますので、今回は副業の確定申告に関する経費について、基本的なことから解説していきます。

 

副業の税金は利益にかかるものではない?

まず、最も基本的なことですが、ご相談を伺っていますと、何に対して税金がかかるのかが曖昧で、ちゃんと理解されていない方が結構おられます。

よく、利益や収入に対して税金がかかると思っておられる方がいらっしゃいますがそれは間違いで、税金というのは「所得」に対してかかります。なので個人の場合は「所得税」というものがかかってくるわけですね。

では「利益」と「所得」は何が違うのかというと、

副業での利益 − 副業でかかった必要経費 = 所得

になります。なので、副業での利益に丸々税金がかかるわけではなく、そこから必要経費を差し引いた「所得」に対して税金がかかってきますので、いかに適切に経費を計上できるかが、納税の際にはキモになってくるわけです。

副業で経費に計上できるものは?

副業に関していただく質問の中で最も多いのが

「何が必要経費になりますか?」

というものです。結論から申しますと、それは業種ややり方によってそれぞれ異なります。

少し難しい表現になりますが、先程お話しした、個人に対してかかってくる所得税法の、経費について書かれている条文を見てみますと

総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用

(所得税法第37条第1項より一部抜粋)

と記載されています。

つまり、副業に関してコレとコレは経費として計上できるよと細かく書かれてあるわけではなく、経費というのは、

その副業を行う上で、直接関連のある費用については経費として認められます

ということです。

このように書くと、ご相談者の中にはなんでも経費として計上しようと思われるのか、過去に実際にあったものとしては

  • ビジネスと無関係な飲み会の費用(どんなところにビジネスの種が転がっているか分からないという理由で……)
  • マッサージ代(副業で疲れた体をメンテナンスする為……)
  • 副業に直接関係しない物の購入代金(例えば車を買って、運転中に新たなヒントを得るため……)

このようなものもありましたが、もちろんこじつけは通用するハズもなく、重要なポイントとしては、

  • 事業(副業)に対する必要性
  • 事業への関連性

この二つがまず重要になってきます。また、この判断は事業主の主観で見るのではなく、社会通念上、客観的にみてどうかを判断する必要があり、そこの主張が食い違ってくると、税務署から指摘をされ、税務調査等でもらちがあかない場合は裁判という流れになるわけです。

関連記事>>>『せどりやアフィリエイトなどIT関係の税務調査の全貌を税理士が解説』

一見、ビジネスと関係のありそうな集まりでも経費として認められない事例とは?

先ほど、経費として認められないものとして、ビジネスと無関係な飲み会の費用というのをあげましたが、例えば本業の司法書士が、ロータリークラブの会費を必要経費に入れていたところ、それは認められないとの判決が、平成26年3月に出ています。

ロータリークラブとは、一応は「社会奉仕連合団体」、つまり奉仕活動をする集まりとされていますが、実際にはそれぞれの職業を通してサービスを行う集まりであることも多く、他の業種の方の講演やセミナーを受けたりと、異業種交流会のような一面もあります。

なので、仕事上の集まりと言えそうですが、先の裁判においては

必要経費とは、単に業務と関連があるというだけではなく、その支出が業務と直接の関係を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当であり、その判断は、単に業務を行う者の主観的な動機・判断によるのではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行われなければならないと解される。

という判決が出ており、つまりロータリークラブの会費は、司法書士の業務の遂行上必要なものとは言えないという判断が下されています。

先ほど、「事業への関連性」と「必要性」を考えた上で、社会通念上どうかを主観的ではなく客観的に判断する必要があると、判断基準をお伝えしましたが、漠然とした言葉だけではなかなか分かりづらいかと思いますので、ご自身で判断される場合は、これらを一つの基準として参考にされるのも良いでしょう。

副業で必要経費にできる具体的なものとは?

さて、前項で経費として認められるものとして、税法上、具体的にコレとコレだと書かれているわけではないとお伝えしましたが、それだけではなかなか分かりづらいかと思いますので、基準に当てはめて、どういったものがあるのかを具体的に見ていきましょう。

ただ、サイドビジネスや副業と一口に言っても様々なものがありますので、あくまで一例となりますが、ご自身が行われているものに前項の基準をあてはめて判断するようにして下さい。

例えば、アフィリエイトなど、インターネットを使って副業をされている方の場合、

  • インターネットの通信費
  • パソコン代
  • 電気代などの光熱費
  • サーバー代金、ドメインの取得費用(ご自身でサイトを運営したりなど直接使われている方の場合)
  • ASPや取引先から報酬を振り込まれる際に引かれている振込手数料

こういったものがあげられるでしょう。他にも、せどりなど物販の転売を行われている方の場合は、

  • 仕入れ原価
  • 物品の輸送料
  • ヤフオクやAmazonなどに支払った手数料
  • 広告宣伝費(自社サイトなどで販売されている場合等のPPC広告など)
  • 仕入れの際の交通費(車やバイクなどのガソリン代)

これらも考えられると思います。

但し、ここで注意が必要なのが、パソコン代やインターネットの通信費、その他光熱費やガソリン代など、日常の生活でも使えるものについては、全額を経費として計上するのではなく、副業に使った分だけを按分して計上する必要があります。

また、物品を仕入れて販売される場合、その原価は「仕入高」として経費計上できますが、確定申告の際には、1月1日〜12月31日までの全ての買い付け代金を計上するのは間違いで、仕入高として計上できるのは、その年に売れた商品に対する仕入れ代金のみになります。

長年、ネットビジネスやIT関連の税務調査に何度も立ち合わせて頂いている経験から申しますと、この部分は必ずと言っていいほど税務署がチェックしてくるポイントになりますので、間違えないようにして下さい。

副業の確定申告が必要ないケースとは?

ここまで経費について見てきましたが、先ほど申し上げた

副業での利益 − 副業でかかった必要経費 = 所得

が一定の金額に達しない場合、確定申告は不要です。但し、この条件についても勘違いしておられる方が結構おられますので、事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。

年間20万円以下なら確定申告不要は間違い?

よく無料相談会でも言われるのが、

「年間の所得が20万円未満なら確定申告は要らないんですよね?」

という内容です。ネット上などでもよく書かれているので、その文言だけが一人歩きしているようですが、これは誰にでも当てはまるわけではなく、サラリーマンの方など、1箇所からのみ収入を得ていて、年末調整のみで納税が完了する人の特例です。

なので、複数からお給料をもらってらっしゃる方や、医療費控除や住宅ローン控除など、還付を受けられる方は、年間の所得が1円でも確定申告が必要ですし、20万円未満というのも、具体的には給与所得と退職所得以外の合計になりますので、例えば副業の中でも、アフィリエイトやせどりの他、FXなどの投資で利益のある方などは、それら全てを合算する必要がありますのでご注意下さい。

他に収入のない方や個人事業主の場合は?

前項は給与所得者が副業として行った場合でしたが、一方で他に仕事をされていない方、例えば主婦や学生でパートやアルバイト収入のない方、そして個人事業としてされている方(この場合は副業ではなく専業と言えるでしょうが)は、年間の所得が38万円を超えた場合に、原則として確定申告が必要になります。

この38万円というのも、前項の20万円と同じく、全てを合算した金額になりますのでご注意下さい
(※令和2年分の確定申告からは、基礎控除の額は48万円になりました)。

まとめ:副業の節税は税務調査対策を見据えた上で行うこと!

ここまで、副業での申告の際に計上できる経費について解説してきましたが、必要経費を適切に計上することは、節税の第一歩になります。

但し、この経費というのは税務調査においては非常に意見の分かれるところで、税理士や会計士と契約している場合、その方のスキルによって、実は結果が大きく変わってくる部分でもあります。

弊社には、過去に色んな税理士や会計士と契約されたものの納得がいかず、噂を聞きつけて相談に来られる方が多くおられますが、同業他社の方をどうこう言うつもりはありませんし、お客様を奪うつもりも毛頭ありませんけども、

現実としては、税務調査の際に2,000万円弱の追徴課税を言い渡され、その時の顧問税理士からも「税務署が言っているので払うしかありません」と言われたのが納得いかず、弊社に来られて対策をさせていただいた結果、60万円で済んだというケースも実際にあります(他にも数十万、数百万円の例は多々あります)。

つまり、経費などを計上して節税を考える時には、同時に税務調査対策もしっかりとしておかないと、後に税務署から指摘をされて、先の方の場合は1900万円以上、結果が違ってくるというわけです。

弊社のクライアント様の場合は、日頃の記帳作業から申告まで弊社の方でやらせていただき、全て税務調査を見据えた上で対策をさせて頂いておりますが、副業なのでご自身で申告をという方もおられるかと思いますので、その方のために、皆さんでもできる基本的なポイントをお伝えしておきますと、まず経費を計上される際の重要な点は2つ、

  1. 経費になるかどうか、条文と照らし合わせて客観的に判断をする
  2. もし税務署から指摘を受けそうなものの場合は、具体的で客観的な根拠資料を準備しておく

です。

1.はここまでにもお伝えしてきた通り、事業との関連性と必要性を考えた上で、社会通念上、経費として通るかどうかを客観的に判断するということ。但し、それを考えた上でも迷うものもきっと出てくることでしょう。

税務署はそういう判断の難しいものに対して突いてきますので、もし「それは経費として認められません!」と否認してきた時には、感情論でいくら「これはビジネスと関連があるんです!」と主張しても認められませんので、客観的な根拠資料を予め準備しておいて、それを提示しながら説明するのが効果的です。

具体的な方法としては、

  1. 領収書などはしっかりと保管し、「誰と」、「いつ」、「どういう理由で」、「何に使ったのか」を説明できるようにしておくこと(お勧めの方法は、書類の余白や裏面にメモしておくと忘れなくて済みます)
  2. ビジネス関連の集まりの場合は、その内容を証明できるもの(例えばセミナー参加費などを経費としてあげる場合は、その時のチラシやテキストなど)を保管しておくこと。
  3. 銀行口座やクレジットカードなどは、日常で使うものと、副業で使うものを分けておくこと。
  4. パソコン代や通信費、光熱費、ガソリン代などは、適当にその割合を決めるのではなく、「使用時間」、「使用面積」、「使用距離」、「使用頻度」など、具体的な数字を元に割合を計算して按分すること。

こうした準備を日頃から整えておくだけでも、いざという時には効果的でしょう。

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