この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
ネットビジネス専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
有名YouTuberの他、せどりや転売・物販、アフィリエイトなど、各ネットビジネス界のパイオニアらの税務顧問を多数担当。マスコミ実績多数。
自身も業務でネットを活用することで、北は北海道から南は沖縄の離島まで多くのクライアント実績を持つ。
●お問い合わせは無料です。ページ下部のメールフォームよりお気軽にご相談下さい。
最近では、国内せどりや中国のアリババやタオバオからの輸入転売の他に、ebayや海外のAmazonを利用して、海を越えた転売ビジネスの展開を行っているという方も増えてきているようで、弊社へも海外取引をしている方からのお問い合わせやお申し込みがよく寄せられるのですが、お話を伺っていますとPayPalの処理について苦労されている方が結構多いようです。
実は間違えると、後から本来納める必要のなかったペナルティの税金までかかってくるケースもあり得ますので、そんなことにならないよう、今回はPayPalの円換算のやり方について、基本的なお話をしたいと思います。
Paypalの処理が面倒な理由とは?
PayPalの場合、具体的には、売上・仕入はどのように計上したら良いのか、売上と仕入でドルと円が混在していて、どのように処理したらよいのかわからないといったご相談が多くあります。
PayPalを利用している方が、まずしなければならないことの1つに「円換算」があるかと思いますが、この時に皆さんが迷われることの代表例が、どの時点のレートで換算すればよいのかということでしょう。
ご質問の際にも、一つ一つの売上を換算しないといけないのか、一ヶ月の売上を集計してまとめて円換算しても良いのかというご質問を頂きます。
どのタイミングでレート換算すべきか?
では、どのタイミングでレート換算をすべきかですが、考えられる選択肢としては、
- 取引を行ったときのレートで換算する
- 年末のレートで一括換算する
などが考えられ、毎月行わせて頂いている無料相談会でもこの二つで迷われている方が非常に多くおられます。
ただ実は、円換算する時期については所得税法基本通達の中で定められています。
通達には
法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下57の3-7までにおいて「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下57の3-7までにおいて「電信買相場」という。)の仲値(以下57の3-7までにおいて「電信売買相場の仲値」という。)による。
引用:所得税法基本通達57の3-2
と記載されています。
少々ややこしい文章ですが、結論を簡単に言いますと、取引を行った日のレートで換算することが原則だということです。
ちなみに今は、銀行やポータルサイトなどのホームページで、過去のレートを調べることが出来ますので、そのレートを元に円換算をしていくことが可能です。
税務調査を見越した根拠を用意しておくべき
レート換算のタイミングの原則論としては、前項のとおり、その取引を計上すべき日のレートで換算し、その都度売上として計上していくことになります。
ただ、日々のレートで換算し、それぞれを記帳していくという作業は、非常に煩雑で現実的ではない場合、それ以外の方法もなくはないのですが、そのためには税務調査で円換算について指摘を受けても、しっかりと対応できるようにしておかなければなりません。
その判断がご自身で難しい場合には、原則通りに計算しておくのが安全でしょうし、弊社のクライアント様の場合ですと、レート換算は丸投げして頂ければ、税務調査でもしっかりと対応できるよう、弊社で適切に処理をさせていただきます。
仕入れにPaypalを利用している場合、消費税の還付で注意点が!?
一方、仕入の処理についてですが、こちらはクレジットカード明細から処理をされている方が多いように感じます。
クレジットカード明細はその都度円換算されているものが多いので、売上のように円換算で苦労するといったことは少ないかと思います。
ただ、クレジットカード明細で処理をした場合には、保管しておく資料に注意が必要です。
相談者の方の中には、クレジットカード明細にすべての明細が記載されているため、問題ないと思わている方が多いようですが、海外転売の場合、特に消費税の還付を受けるためには、商品代金の支払いを受けた者の作成した書類(つまり、請求書や領収書など)の保存が必須なのです。
クレジットカード明細はカード会社が作成した書類であり、消費税法上保存が義務付けられた書類には該当しないため、消費税が還付されない可能性があるのです。
消費税の還付申告をすると、税務調査が行われることが多いのですが、領収書が保管されていなかったために消費税の還付が認められず、さらに追加で消費税やペナルティーの税金を納めなければならなくなるといったことも十分に考えられますので、税務調査を見越した対策をしておくことは、非常に重要なポイントになります。
まとめ
今回はPayPalでもご質問の多い内容に絞って説明させていただきましたが、こういった処理は記帳・申告のためだけに行うのではありません。
税務調査等で指摘を受けた場合に、その調査を乗り切れることも見越して処理をしておかなければ、せっかく手間と時間を使って申告をしたのに、あとから誤りが見つかり本来必要のない税金を払わなければならなくなるといったことにもなりかねません。
このようなことがないように、Paypalを利用している方はこれらの注意点について、しっかり把握しておきましょう。
【関連記事】
・『危険!PayPalのレートを間違えて申告したら税務署から罰金が?』
・『プロが教える!輸入転売や輸出の消費税還付のやり方と注意点とは?』
▶具体的な節税実績や、無料での会社設立、無料節税シミュレーションについて見る >>> TOPページへ
※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろんご相談頂いても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。