この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
ネットビジネス専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
有名YouTuberの他、せどりや転売・物販、アフィリエイトなど、各ネットビジネス界のパイオニアらの税務顧問を多数担当。マスコミ実績多数。
自身も業務でネットを活用することで、北は北海道から南は沖縄の離島まで多くのクライアント実績を持つ。
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最近では、「ApplePay」や「GooglePay」にクレジットカード情報を登録する「ID」や「QUICPay」、「auWallet」などの電子決済サービスや、「PayPay」や「LINE Pay」「メルペイ」なども対応しているQRコード決済の電子マネー。
また、「ファミペイ」や「nanaco」などコンビニ毎のサービスや、「Suica」や「PASMO」など、交通系の決済サービスなど、非常にたくさんの電子決済サービスが存在します。
弊社のクライアント様の中でも、ビジネスや普段のお買い物で、これらの電子決済を使われている方も非常に多いのですが、特にビジネスの場合、確定申告や決算のことを踏まえて、事前に知っておかないといけない税務上の注意事項が実はあります。
今回はそれらについて解説してみましょう。
電子マネーで注意すべきは貯まるポイント!
さて、冒頭で電子マネーについてお話しましたが、非常に便利なため、一人で複数の電子決済サービスに登録されている方も多いでしょう。
もちろん、特定のお店やサービスでしか使えないものもありますので、どの電子マネーを使うか考えないといけないわけですが、その判断基準の一つとしてあるのが「ポイントの還元率」だと思われます。
「PayPay」が登場した時などは、その還元率の高さから、ドラッグストアや家電量販店などでも行列が出来ていたと、ニュースやワイドショーでも流れていましたが、この「還元されるポイント」が、実は注意すべき重要な部分なのです。
電子マネーのポイントで商品や備品を仕入れて良いのか?
分かりやすい例で申しますと、上記で、「PayPay」が登場した時に、家電量販店に行列が出来たと書きましたが、もちろん、それで個人のものを購入された方も多いかと思います。
ただ中には、物販や転売ビジネス等をされている方の中には、電子マネーを使って購入することで、その分、仕入れにかかる費用が安くなるわけですから、ゲーム機やDVD、他にもカメラやパソコンの周辺機器など、「PayPay」などの電子決済を使って仕入れられた方も結構おられるようです。
ちなみに決済自体は、基本的に現金チャージやクレジットカードからの引き落としになりますので、お金の流れが明確であれば、それはあまり問題にはならないでしょうが、注意しないといけないのは、電子マネーの還元というのは、その場で値引きされるわけではなく、基本的に後日、ポイントとして還元されるものがほとんどです。
ということは、購入した代金のままだと仕入れ値は元々の値段と変わらないわけですので、得をするために、次は貯まったポイントを使って、また仕入れをしようという人が出て来てもおかしくないでしょう。
実は明確な取り決めが存在しない!?
結論から申しますと、今現在、ポイントを利用した場合の処理について、税務上の明確なルールや取り決めは存在しません。
そのため、ポイントのことについて調べると、専門家によって様々な解釈や意見が見られ、一体どうすればいいの?と余計にわからなくなってしまうなんてことも出て来るでしょう。
なので、ここではあくまで中小企業や個人事業主の税務上のポイントに絞って考えてみたいと思います。
電子マネーのポイントを利用した場合の考え方について
一般的にポイントを利用した場合の考え方としては、その捉え方から次の3つが考えられるかと思います。
ここでは一例として、5万円の仕入れに対して1万円分のポイントを利用し、実際には4万円を支払ったという前提で考えてみたいと思います。
ちなみに、どの方法を選んでも、最終的な利益や税金の額は変わらないことになります。
その1.実際に支払った現金の額で考える
まずは一番シンプルに、ポイント分は無視して支払った現金の額で考える方法です。
仕訳としては、
仕入高 40,000円 / 現金 40,000円
となり、実際の商品価格50,000円やポイント利用分10,000円は、仕訳の中のどこにも出てきません。
その2.ポイントを収入として考える
利用したポイントを収入として考える方法です。
仕訳としては、
仕入高 50,000円 / 現金 40,000円
/ 雑収入 10,000円
として、仕入高は実際の商品価格50,000円、ポイント利用分10,000円を雑収入として計上します。
その3.ポイントを仕入値引として考える
ポイントを利用して商品の購入価格が安くなった分、仕入値引をしてもらった捉える考え方です。
仕訳としては、
仕入高 50,000円 / 現 金 40,000円
/ 仕入値引高 10,000円
として、仕入高は実際の商品価格50,000円、ポイント利用分10,000円を仕入値引高として計上します。
ポイントの捉え方によって、上記3つの考え方を紹介しましたが、中小企業や個人事業主にとっては「その1」の考え方が、一番手間がかからない方法ではないでしょうか。
ポイントの利用で注意しなければならないこと!?
たまに、インターネット上やセミナーなどで、経費を支払う際にクレジットカードや電子マネーを使って効率的にポイントを貯め、そのポイントを個人的なモノの購入や旅行に使って得をしようといった情報を目にすることがありますが、それは本当に大丈夫なのでしょうか?
あくまで税務上の問題にだけスポットを当てて考えると、これらの行為について、問題が無いと言うことはできません。
どういうことか説明しますと、個人事業であっても会社(法人)であっても、それらの経費を支払う際に発生したポイントは、厳密には事業用のポイントであり、会社のポイントということになります。
つまり、事業用もしくは会社のポイントを私的に使うことになりますので、ポイントを私的に使った時点でポイント分が雑収入として計上され、そこには税金がかかることになると考えられます。
経費を支払う際に貯めたポイントを、プライベートで利用しようという情報のほとんどは、ポイント分の税金を無視したものが多いかと思いますので、そのことが税務調査で見つかれば、当然ペナルティも含め、追加で税金を納めなければならないことになります。
関連記事>>>『危険!延滞税や無申告加算税などペナルティの税金の種類と内容とは?』
まとめ
繰り返しになりますが、今現在、電子マネーのポイントの利用に関する税務上の明確なルールは存在しません。
電子マネーはまだ出来てから歴史が浅いこともありますし、元々、クレジットカード等にもポイントが付くものもありましたが、それらが登場した時には、今ほどサービスが盛んではなかったり、還元率が高くなかったりで、税法上も見逃され、整備が追いついていないという側面もあるかと思います
(なのでいずれは、ポイントサービスについても税法が整備されることになっていくでしょう)。
そのため、今回お伝えした内容は、あくまで現行の税法などを前提としたひとつの考え方になり、専門家によっては違った見解もあるかもしれません。
ただ重要なのは、そのまま放置したことで税務調査で指摘を受け、余計な税金を支払わないといけなくなった(あとから指摘をされることでペナルティーも発生します)などということにならないようにすることが、最も大切でしょう。
これから電子マネーはドンドン普及していくことが予想されますが、ポイントサービスをよく利用される方や、マイラーの方などは、その辺りのことを十分注意してくださいね。
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろんご相談頂いても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。