インターネットの普及により、弊社のクライアント様の中にも、海外のAmazonや、eBay、BuyMaなどを使った転売ビジネスや、PayPal等の決済サービスを利用したアフィリエイトなど、海外のサービスを活用されている方々が多くおられます。

それらの皆さんから、確定申告の前に無料相談会やメールでよくいただく質問の中に、

「円以外の通貨で報酬を受け取った場合、どのように処理をすれば良いですか?」

というのがあります。

実は確定申告の際の円へのレート換算には決まり事があり、ここを疎かにしてしまうと、後から税務署に指摘をされて、ペナルティーを払わされる可能性もありますので(もちろん知りませんでしたは通用しません……)、今回は、海外のサービスを利用した場合の、処理の仕方について解説したいと思います。

 

海外のASPや決済サービスであっても日本で確定申告が必要!?

海外のサービスを利用してビジネスをされている方からよく聞かれることで、そもそも欧米AmazonやPayPal、eBayなど、海外のASPや決済サービスを利用して得た利益は確定申告をしなければならないのかという質問があります。

日本の所得税法では、個人を「居住者」と「非居住者」に分けて納税義務を定めており、居住者に該当する場合には、所得が生じた場所が日本国内外を問わず、すべての所得に対して確定申告をしなければなりません。

この居住者と非居住者の区別については、

「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人

のことで、

「非居住者」とは「居住者」以外の個人

とされ、居住者・非居住者の判定は表面上だけではなく、深く生活実態なども考慮の上判断されることになります(なので、現場の経験から申し上げますと、表面上、海外に拠点があったとしても、税務署からは否認されるケースが多々あります)。

つまり、一般的に日本にずっと住んでいるといったような方であれば、ほとんどの方は海外のサービスを利用して得た利益であっても、日本への申告が必要ということになると言えるでしょう。

ちなみに、

「海外の口座やPaypalなどに円以外の通貨で入金があった状態で、日本へ送金をしていなければ税金はかからないですか?」

といったこともよく聞かれるのですが、たとえ日本へ送金をしていなくても、海外の口座やPaypalに入金があれば(もしくは報酬の発生が確定していれば)確定申告が必要になりますので、注意が必要です。

※居住者と非居住者についてわかりやすく簡単に書かせていただきましたが、正確には居住者は「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。

この辺りの判断はややこしくなりますので、過去10年以内に海外で長期生活をしていたといったような方は、下記国税庁ホームページ「納税義務者となる個人」をご参照ください。

関連リンク>>> 国税庁ホームページ タックスアンサー「No.2010 納税義務者となる個人」

円以外の通貨で報酬を受け取った場合には円への換算が必要?

前章のお話で、所得税法上の居住者に該当すれば、海外のサービスを利用して得た利益についても確定申告が必要なことはおわかりいただけたかと思います。

ただ、実際に確定申告を行うためには、複数通貨で申告するわけにはいきませんので、例えば円以外の通貨(ドルやユーロなど)で報酬を受け取った場合には、どのようにして日本へ確定申告をすればよいのでしょうか。

当然ですが、日本の確定申告書は通貨の単位は円で記載をしなければなりませんので、ドルやユーロを日本円に換算するといった作業が必要になってきます。

ただ、そうは言っても為替レートは常に動いているため、どのタイミングのレートを使って換算するかによって、利益の額が変わってくるという問題が生じてきます。

そこで、一体いつのレートを使って円に換算すればよいのかということについて、次に解説していきましょう。

例えばドル円はどの時点のレートで換算するのか?

円以外の通貨で報酬を受け取った場合、円に換算して申告をしなければならないわけですが、そうなると、一体どのタイミングのレートで換算をすればよいのかという疑問が生じると思います。

一般的な選択肢としては、

  • 取引を行ったときのレート
  • 年末のレートで一括換算をする

この2つでしょう。

弊社に寄せられるお問い合わせや無料相談会でもこの2つで悩まれている方が非常に多く見受けられますが、実は、円換算をする時期については、所得税法基本通達の中で定められています。

通達には、

 法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下57の3-7までにおいて「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下57の3-7までにおいて「電信買相場」という。)の仲値(以下57の3-7までにおいて「電信売買相場の仲値」という。)による。
【所得税法基本通達57の3-2】

と記載されています。

少々ややこしい文章ですが、結論を簡単に申しますと、原則としては取引を行った日のレートで換算をするということになります。

また、「取引を行った日のレートなんてもうわからないよ…」といった場合には、銀行などのサイトで過去の為替レートを調べることが可能です。

関連リンク>>>三菱UFJ銀行ホームページ「外国為替相場」

まとめ

今回は円換算のやり方について解説してきましたが、この作業自体はそれほど難しいものではないかと思います。ただ、よく理解していない方も多く、過去にネットビジネスの税務調査に何度も立ち合わせていただいた経験から申し上げますと、必ずと言っていいほど、税務署が目を光らせてくるポイントでもあります。

申告書の内容に不備や疑問点がある場合には、後々税務署からお尋ねがきたり、税務調査が行われる場合もありますので、決して疎かにしないように心掛けましょう。

関連記事>>>『せどりやアフィリエイトなどIT関係の税務調査の全貌を税理士が解説』

弊社のクライアント様の場合は、本業に注力いただけるよう、面倒な円換算の処理や、税務調査までを視野に入れた帳簿書類の作成から、根拠資料の準備まで、全て弊社に丸投げで対応させて頂いておりますが、もしご自身で申告をされる場合には、万が一、お尋ねや税務調査があった場合に備えて、本来提出義務はありませんですが、換算の根拠となった資料を残しておき、どのように円に換算したのかをしっかりと説明できるようにしておくことが、もしもの時には重要な対処法になってきますので、きちんと保存しておくようにして下さい。

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