電子帳簿

弊社には日々全国の、ユーチューバーやアフィリエイター、その他、輸出入転売やせどりをされている方、ホームページ製作やアプリ開発をされている方など、IT関係やネットビジネスをされている方から、税金に関する問い合わせや確定申告代行のご依頼が多数寄せられます。

そんな中、最近はペーパーレス化も進み、特にネットビジネスでは取引先の領収書や銀行の明細書、例えばYouTuberの方であればGoogleからの明細や、物販をされている方ならAmazonや楽天、メルカリやYahoo!、アフィリエイトをされている方だと、A8ネットやインフォトップ、バリューコマースなどASPからの明細など、紙ではなくCSVやPDF形式等のファイルで受け取られるケースが非常に多いかと思います。

今やそんな電子取引は、当たり前のように行われているので、メールで送られてきたり、サイトからダウンロードした請求書や領収書などを紙に印刷して、他の紙の請求書や領収書などと一緒にして保管している事業者様も多いことでしょう。

ただ結論から申しますと、実はこれらのデータを「紙に印刷して保管」しておく行為は、令和4年1月1日以降の取引分からは認められなくなる事が決まっています。

令和3年12月31日までは、電子データで授受した請求書や領収書を紙に印刷して保存することも「代替措置」として認められているため、こういった制度がある事自体ご存知ない方もおられるかもしれません。

しかし、今回の改正では、出力した書面等を保存する代替措置は廃止されることになり、令和4年1月1日以降は、電子データのものは原則通り電子データにて保管をするルールとなっただけでなく、そのルールを守らなかった場合の罰則が強化されることになったのです。

そこで今回は、電子帳簿保存法の中の電子取引に関する要件の改正と、追加された罰則について解説していきたいと思います。

 

そもそも電子帳簿保存法とは?

少し難しい文言が続きますが、まず「電子帳簿保存法」とは、国税関係帳簿書類を電磁的(いわゆる電子データ)に保存するためのルールを細かく定めたものです。

その電子帳簿保存法の中には「スキャナ保存制度」や「電子取引情報保存制度」があり、どのような帳簿や書類を、どういった方法で保存するのかだけでなく、保存している情報を確認するための環境についても要件(ルール)が決められていて、そのルールに従って保存することになります。

今回お話させていただく電子情報保存制度については、「電子取引をする事業者全員が対象」となりますので、これからどういった対応をしなければならないのか見ていきましょう。

「電子取引」とは?

では、解説するにあったって「電子取引」とは何かということですが、注文書や領収書等に記載される取引情報を電磁的方式により授受する、EDI取引、メール取引、クラウド取引などを指します。

【電子取引に該当する例】

  • 電子メールによる請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
  • インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用
  • 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
  • クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
  • 特定の取引に係るEDIシステムを利用
  • ペーパーレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
  • 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して授受

実は、上記以外にも、例えば「見積書と記載されていないが、見積書と同様の内容が記載された電子メール」も取引情報とみなされますので、保存の対象となります。

※ちなみに、そもそも紙で受領している場合は電子取引の対象外ですので、紙の保存のままで問題ありません。

さて、ではこの電子取引、どのように保管すべきなのでしょうか。

電子データでの保存の要件とは?

電子取引で授受した領収書等を、紙に印刷して保管する代替措置が廃止になりますが、ではどのようにしてデータを保管することになるのでしょうか。

ただ単に、受け取った請求書や領収書の電子データ(PDF等)をパソコンに保存しておけば良いというものではなく、令和4年1月1日以降に授受する電子取引を、電子データで保存する場合以下の4つの要件に注意が必要となります。

  1. 自社開発のプログラムを使用する場合、電子計算処理システムの概要を記載した書類の備付けが必要
  2. 一定のディスプレイやプリンタ等の見読可能装置の備付けが必要
  3. 検索機能の確保
  4. 改ざん防止措置を行う

まず1.は自社開発のプログラムを使用されていなければ不要です。

次に2.は、主にパソコンで作業を行う事業者様であれば、すでに要件を満たされているケースもあるかと思いますので、今回は要件の説明は割愛させていただきます。

なので、多くの方に影響があるのは恐らく3.と4.でしょう。

検索機能の確保について

その名の通り、保存しているデータを検索できるような状態にしておく必要があるのですが、どのような条件があるのでしょうか。

  1. 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。
  2. 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
  3. 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

なお、当該電磁的記録について、税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、2.及び3.の要件は不要となります
(また、この場合において、判定期間に係る基準期間における売上高が 1,000 万円以下の事業者については全ての検索機能の確保の要件が不要となります)

引用元:国税庁 電子帳簿保存法一問一答 【電子取引編】(問31 抜粋) 

つまり、税務調査で調査員からデータを出すように指示があった際に、対応出来るようにしているのであれば、1.の要件を満たしていれば良いというものです。

また、基準期間の売上が1000万円以下であれば検索機能の確保は不要ですが、電子データでの保存が不要というわけではなく、検索機能以外の要件は満たす必要がありますので、お気をつけください。

検索方法について

規則性や継続性があり、保存方法が混在しないように保管する必要がありますが、明確に区分整理が可能な単位で同一の保存方法を行っている場合は、それぞれの方法に区分して保存して良いとされています。

【検索方法の例】

  • 索引簿を作成
  • 保存するファイル名に規則性をもって内容を表示する(例:20211010_◯◯株式会社_150000)
  • 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する

関連リンク>>>『国税庁 電子帳簿保存法関係 参考資料 索引簿の作成例』

改ざん防止措置を行う必要について

改ざん防止措置の方法は以下の4つの中からいずれかを行います。

  1. タイムスタンプが付された後の授受
  2. 速やかにタイムスタンプを付す
  3. データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
  4. 訂正削除の防止に関する事務処理規定の備付け

実務的には、1.から3.の方法ではコストがかかるため、導入が容易なのは4.の訂正削除の防止に関する事務処理規定の備付けかと思います。

ただ、事業規模や事業の中で扱う取引の内容などによって記載する内容も、どこまで整備すれば改ざんを防ぐことができるのか、社内での十分な検討が必要な事項になってくると考えられますので、先ほどと同じページになりますが、参考までに以下に国税庁のサンプルが公表されているページのURLを記載いたします。

関連リンク>>>『国税庁 電子帳簿保存法 参考資料 事務処理規定(サンプル)』

不備があった時の罰則が強化される?

冒頭から書かせていただいたように、令和4年1月1日からは原則通り電子データは電子データでの保存が義務付けられるのですが、その要件を満たしていない場合は罰則もあるため注意が必要です。

その罰則というのが「重加算税の10%加算」と「青色承認取り消し」です。

重加算税の10%加算について

適正な保存を担保するための措置として、電子データにつき仮想隠蔽があった場合には、その申告漏れ等に課される重加算税が10%加重されることになりました。

つまり、データの改ざんがあったらペナルティをもっとかけますよというもので、通常、過少申告の場合の重加算税であれば35%ですが、これにさらに10%加算され、合計で45%ものペナルティがかかることになります。

青色承認の取り消しについて

国税庁が公表している、電子帳簿保存法の一問一答の電子取引編において、以下のような記載があります。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録については、法第7条の規定により保存義務が課されていることから、その電磁的記録を保存する必要があります。

そして、電子取引の取引情報に係る電磁的記録について要件を満たさず保存している場合や、その電磁的記録の保存に代えて書面出力を行っていた場合(※)には、保存すべき電磁的記録の保存がなかったものとして、青色申告の承認の取消の対象となり得ますので注意してください。

※ 令和3年度の税制改正前の電子取引の取引情報に係る電磁的記録を書面等に出力することにより保存を認める取扱いは廃止されています。

引用元:国税庁 電子帳簿保存法一問一答 【電子取引編】(問42 抜粋) 

つまり、要件を満たした形で保存してないと、青色申告の承認を取り消すこともありますよと言うものです。

ちなみに、上記の一問一答の続きに「違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断する」とも記載されていますので、保存要件が不十分だということだけをもって、直ちに青色申告の承認の取り消しが行われるというわけではないと考えられます。

まとめ

今回は、電子取引のデータ保存について解説させていただきました。

今までは、希望者が電子データで保存したいからルール守るので承認してください、といったスタンスだった電子帳簿保存法ですが、今回の改正で(原則どおりではあるのですが)強制的に電子取引をしている事業者は全員対象となりました。

年末が近づいてくると、弊社に寄せられる問い合わせも、経費や確定申告に関するものが増えてきますが、申告に必要な領収書や明細など、日々のそういった電子書類の保存方法について、書かせていただいた電子取引の例以外にもビジネス上では様々な取引があるかと思いますので、どういった対応が自分(自社)に合っているのか、検討する機会になれば幸いです。

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