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法人の役員変更登記

日頃からネットビジネス等の税金の他に、法人化(会社設立)に関するご相談もよく頂くのですが、弊社のクライアント様の中にも、個人で行っていた事業が軌道に乗って、法人化される方も多くおられます。

ちなみに、法人で事業を続けていく上で、実は税金以外にも手続き上、注意する必要があるのが「登記」です。

そもそも法人は、法務局に登記申請をし承認され、登記が完了してはじめて法人(会社)設立となります。

ただ、この設立時に取得した登記簿謄本は、最初の頃は銀行口座の開設などで提出するなど、ご覧になられる機会も多いかと思いますが、それ以降は全く見てもないし、中にはどこに片付けたかも忘れてしまったという社長さんも実はおられました。

また、登記というのは後々も手続きが必要になるという事をご存知ない方も結構おられるようです。

登記に関しては、税理士ではなく司法書士の専門分野になるのですが、実は忘れたまま放置すると非常に厄介な事になりかねませんので、今回は、登記を怠るとどうなるのか?、またそれによって税金はどう関係してくるのか?について、税理士の目線から解説してみたいと思います。

 

本来必要な登記を忘れたらどうなるの?

冒頭でも書かせていただいたように、法人は設立時に法務局にて登記しますが、実は変更等があった場合も登記が必要で、もし登記を怠った場合、条件によって次のような事が起こり得ます。

  1. 100万円以下の過料に処される可能性がある
  2. 職権で法人を解散させられてしまう

結構厳しい内容になっていますが、具体的にどのような事が起こるのか見ていきましょう。

登記を怠ると罰金が?

法人は登記事項に変更があった場合、変更事項が生じてから2週間以内に登記申請をする必要があると会社法上で定められていて、それを怠ると「過料(罰金)」が課せられます。

その登記を怠った場合に課せられる「過料」は、行政上の秩序罰で、前科はつきませんが、金銭の納付を裁判所から命じられます。

一般的には違反したときに課せられるのは「罰金」というイメージかと思いますが、実は罰金の場合は刑事罰で前科がつきますので、過料と罰金では法律上は意味合いが異なります。

次に、課せられる過料は100万円以下と決まっていますが、実際にいくら納めなければならないかは裁判所からの通知が届くまでわかりません。

これを放置していると財産等を差し押さえられることもあると記載されていますので、速やかに納めた方が良いでしょう。

変更した場合に届けないといけない登記事項とは?

ちなみに登記事項というのは、「本店所在地」や「事業目的」、「会社の商号」、「発起人の氏名や住所」などを指し、法人の「決算月」や「株主総会をいつ開く」といった取り決めは定款で定めますが登記事項ではありません。

このように、登記が必要な内容と、必要でない内容がありますので、わからない場合は司法書士に相談すると良いでしょう。

役員には任期があり、満了の際は必ず変更届を出す必要がある!

法人はその種類によって役員の任期が異なりますが、例えば株式会社は2年〜10年、一般社団法人で2年〜4年となっています。

役員が任期満了になれば、必ず株主総会を開いて議事録をとり、次の役員を選任する必要がありますが、新たに別の方が選任される場合はもちろん、例え現在の役員がそのまま引き続き役員になる場合(再任)や、代表一人の法人でも「重任登記」と言ってこれからはこの人が役員になりますよという変更登記が必要になります。

なので、株式会社だと先ほどお伝えしたとおり、基本的には2年、株式の譲渡制限を設けることによって最長10年まで延ばすことができ、その任期が終われば、株主総会を開いて次期役員を決定し、変更登記しなけれなりません。

ですがよくあるのが、最長の10年にしていた場合、失念してしまっていることが多く、ある日突然、郵便で過料の通知が届いて初めて気付くということもよく耳にします
(冒頭でお話した通り、司法書士の専門分野ですが弊社も相談されることがあります……)。

ちなみに、合同会社には任期という概念がありませんので、重任登記は必要ありませんが、他の変更登記等はもちろん必要になりますので、その点は注意しておきましょう。

もし任期満了したのに変更登記をしなかった場合は?

もし、役員の任期が過ぎてもそのまま登記せずにいた場合、どのような事が起こるかと言いますと、先程の過料がかかる以外に、「みなし解散」と言って、職権で法人を解散させられてしまうといった事が起こり得ます。

法人にとってまだ事業を行っているのに会社を解散させられてしまうのは大問題ですので、早急に対応する必要があります。

とはいえ、いきなり解散になるのではなく、株式会社の場合12年過ぎたらまずは法務局から廃業していないか確認する通知書が届きます。

これは、廃業していませんか?廃業してなかったら期日までに登記もしくは廃業していない旨の届出の提出をしないと解散させますよ、という通知で、通知書に記載の期日までに登記を行えば会社は存続できますが、後に裁判所からの過料(ペナルティ)がかかって来ることは避けられません。

中には廃業していませんという届出だけ提出して、それでOKだと思っておられる方もいるようですが、ちゃんと登記も行っていないと、翌年以降もみなし解散の対象になったままですので、登記も必ず忘れずに行うようにしましょう。

変更登記をしなかった際の過料(罰金)は法人の経費になる?

さて、もし過料が課せられた場合、「法人の登記に関連するお金だから法人の経費になりますよね?」と相談されることもありますが、残念ながら過料は経費として計上することはできません。

そもそも、税法上このような罰で支払ったものは個人でも法人でも経費にはなりません。

分かりやすく言えば、社用車で駐車違反をしてもその反則金が法人の経費にならないのと同じことです。

もし経費になってしまうと罰の意味が薄まってしまうため、損金不算入、つまり利益から差し引くことは出来ないというルールになっているのです。

また、登記を怠った事による過料は、法人ではなく代表取締役個人に課せられると会社法で定められているため、裁判所からの通知も社長個人に届きます。

もし法人が過料を支払ってしまったら?

もし過料を法人で支払った場合、本来は社長個人が負担すべきものを法人で支払っているため、税務上は社長の臨時のお給料(賞与)を支給したという考え方になります。

臨時的に支払われた給与(賞与)は原則損金不算入ですので、法人の経費にはなりません。

また、臨時の賞与でも源泉徴収をする必要がありますので、その分の源泉所得税を法人で納めなくてはならず、手間や税金がかかるばかりで、法人で過料を支払うメリットはハッキリ申し上げてありません。

まとめ

登記は意外とお金がかかり、2023年現在ですと重任登記の登録免許税で1万円、代表者住所の変更で1万円、本店所在地の変更(同一管轄内)で3万円かかり、司法書士のようなプロに依頼すると、加えて手数料も必要になります。

これが度々となるとそれなりの出費となるだけでなく、手間もかかることから後回しにされがちですが、放置していて得する事は何もありません。

これから法人を設立される方は、個人と違って法人は会社法も関わってきますので、このような対応が必要になることも知っておく必要があるでしょう。

また既に法人で事業を行っておられる方にとっても、ご自身の法人の役員の任期が何年になっているのか、登記漏れはないか等、しっかりと確認しておきましょう。

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