この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
ネットビジネス専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
有名YouTuberの他、せどりや転売・物販、アフィリエイトなど、各ネットビジネス界のパイオニアらの税務顧問を多数担当。マスコミ実績多数。
自身も業務でネットを活用することで、北は北海道から南は沖縄の離島まで多くのクライアント実績を持つ。
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2019年3月のことになりますが、Googleペイメントチームより、「Google Adsアカウントに関連する契約をグーグル合同会社に譲渡する」といった内容のメールが届きました。
Googleに限らず、様々なサービス業者からこのような変更のメールが送られてくることは珍しくないでしょうから、そのまま読み飛ばしてしまった方もおられるかもしれませんが、今回の契約譲渡には、消費税の面で非常に重要な変更が含まれています。
実は、これらのWebサービスの税務上の取り扱いについては、税の専門家である税理士の中でも不慣れな場合が多く、その仕組みや判断基準などを知らないため、気付かぬ内に間違った申告をされてしまっているケースも実際にあり、税務署から指摘をされたことで発覚し、弊社へ相談して来られる方も全国におられます。
そこで今回は、このGoogle広告(旧 アドワーズ)の契約譲渡によって、消費税の取り扱いにどのような影響があるのかにスポットを当てて、お話していきたいと思います。
▼契約譲渡前の消費税の取り扱いについてはこちらになります
関連記事>>>『GoogleAdwordsの消費税に潜むワナと正しい申告法とは?』
GoogleがGoogle Adsアカウントに関する契約を譲渡するとは!?
Google広告の広告費は、今までは「Google Ireland Ltd.」や「Google Asia Pacific Pte. Ltd.」といった、海外の法人に支払っていましたが、2019年4月1日より「グーグル合同会社」に契約が譲渡されることになり、広告費の支払い先が「グーグル合同会社」という日本の法人に変更になりました。
これについては、2019年3月にGoogle Paymentsより送信された
「件名:【重要】 Google Adsアカウントに関する契約譲渡および規約変更のお知らせ」
というメールに次のように記載されています。
お客様各位
本Eメールは、Google Adsに影響を及ぼす規約への重要な変更について、お客様にお知らせするためのものです。
1. 譲渡
2019年4月1日をもって、Google Asia Pacific Pte. Ltd.は、お客様の日本におけるGoogle Adsアカウントに関連する契約(変更およびサービス契約等の関連契約を含みます。)を、リセラーとしてのグーグル合同会社に譲渡致します。
これにより、同日以降、グーグル合同会社が、同契約の規定により拘束されることになり、同サービスについてお客様に請求を行います。
お客様が、その他に日本以外におけるGoogle Adsアカウントをお持ちの場合には、そのようなアカウントは全て、日本国外でサービス提供が継続されます。
お客様が請求書払いを行っている場合には、譲渡日後ほどなく、(Google Asia Pacific Pte. Ltd.ではなく)グーグル合同会社から請求書を受領することとなります。
引用:【重要】 Google Adsアカウントに関する契約譲渡および規約変更のお知らせ
広告費の「消費税」の取り扱いにも影響がある!?
そしてこのメールには、消費税についても次のように記載されています。
2. 消費税
グーグル合同会社は、法律により8%の消費税をサービス料金に課さなければなりません。
そのため、2019年4月1日ご利用分より、お客様の請求書には、これが新たな項目として掲載されます。
この変更による課税上の影響に関してのご質問は、お客様の税務顧問にお問い合わせください。
今までリバースチャージ方式だったGoogle広告の消費税が変更に
今までも、Google広告の費用は、消費税の課税される取引だったのですが、その課税方式は「リバースチャージ方式」の対象となっていました。
少し難しい内容になりますが、リバースチャージ方式とは、広告費を支払った側が直接納付するという方式(通常、消費税は広告費と一緒に相手方に消費税を支払い、広告費を受け取った側が納付することになります)のことで、
広告費を支払っている側の課税売上割合が95%以上の場合には、リバースチャージの処理については、当分の間、なかったものとして処理をするという経過措置があるため、ほとんどの場合は消費税を支払う必要がありませんでした。
2019年4月1日以降は、消費税の取り扱いが変更になった?
但し上記の通り、今まではリバースチャージ方式だったGoogle広告(旧アドワーズ)の消費税が、2019年4月1日からは支払先がグーグル合同会社という日本の法人になることにより、他の多くの国内での取引と同様に、広告費に消費税がかかってくることになります。
つまり、広告費を支払う側からすれば負担が増えることになりますが、一方で、消費税の取り扱いとしては、仕入税額控除ができるようになります。
このGoogle広告の契約が、海外の法人から日本の法人に譲渡されることにより、消費税面で何が変わるのかということをしっかりと理解していないと(もしくは、こういった変更があった事自体を認識していないと)、
広告費の負担が増えるだけで、消費税の面で損をしてしまうということが起こり得る可能性がありますので、Google広告を利用している方は、今一度、4月以降の処理がしっかり変更されているか、以下を参考に確認しておかれた方が良いかもしれません。
▼消費税の仕入税額控除については、以下のリンクをご参照ください。
関連記事>>>知らないと恐い?消費税の還付申告や控除で必要な書類や注意点について
「簡易課税制度」を選択している場合には処理に大きな変更はないが…!?
消費税の課税事業者で、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合には、「簡易課税制度」を利用している場合があります。
簡易課税制度を利用している場合には、「みなし仕入率」という消費税法で定められた一定の割合で消費税額を控除することになりますので、広告費に消費税がプラスされても、消費税の処理自体に変更はなく、実質的には負担が増えるということになるでしょう。
YouTubeの動画広告も注意が必要!?
今回は、Google広告に関しての変更ということで、一般的には検索サイトやGoogleのパートナーサイトに表示される広告をイメージされる方が多いかと思いますが、弊社は有名な方を含む、複数のユーチューバーの方の税務申告の実績もありますが、YouTubeへ向けて出稿されている動画広告も、基本的にはGoogle広告になるかと思いますので(直接の広告契約など特殊な場合を除く)、それらを使われている方も注意が必要だと言えるでしょう。
まとめ
今回はGoogle広告の契約譲渡に関して消費税の取り扱いが変わるということをお話しました。
今回のような変更は税法の改正だけでなく、Googleなどのサービス内容の改定にもアンテナを張っておかないといけないため、税理士の中でもネットビジネスに精通していないと、見落としてしまう可能性もあるようです。
今回の件に限らず、消費税はややこしい内容が多いので、もしGoogle広告を利用しているが、今回の内容がよくわからなかったという方がおられましたら、間違ったまま申告をしてしまって、後にペナルティを課されていては非常に勿体ないと思いますので、弊社に限らず、ネットビジネスについても精通している税金の専門家に、一度相談してみられることをお勧めいたします。
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろんご相談頂いても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。