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AdSenseの消費税

弊社のクライアント様の中には、様々なIT関係の方や、ネットビジネスをされている方がおられますが、インターネットを使ったビジネスでは、海を越えた取引も簡単に出来てしまうため、皆さんの中には、海外と取引関係がある方も少なくないかと思います(その意識はなくても、GoogleやPayPalなどグローバルなサービスを利用していたために取引があったということも起こり得ます)。

そんな中、海外取引をしておられる方にとって、興味深い関連事柄の一つとして「消費税の還付」があげられるでしょう。

これらについては過去のメルマガや、当ブログの記事でも何度かお伝えしていますが、弊社では、欧米のAmazonやeBayなどの他、アリババやタオバオ等を使った中国との輸出入転売・物販ビジネス、その他、アフィリエイトなどで海外と取引を行い、それを収益の柱にされているクライアント様も多くおられますので、消費税の還付申告についての実績も多くあることから、日頃から消費税の還付、更にはそれに係わる税務調査に関するご相談も非常に多く頂きます。

そこで、今回は弊社に寄せられる数多くのご質問の中から、ネット広告である「Google AdSense(グーグルアドセンス)」で収益を上げておられる方の消費税の還付についてお話したいと思います。

 

Google AdSense(グーグルアドセンス)とは?

この記事をご覧の方は、恐らく既にネットビジネスに取り組まれている方が多いかと思いますので、今更かも知れませんが、アドセンスは皆さんご存知の通り、Googleに登録申請をして、自身のサイトやブログにそのタグを貼り付け、訪問者がクリックされるごとに報酬が発生する、いわゆるオンライン広告ですが(最近では、YouTubeを使った動画アドセンス広告で利益を上げておられる方やユーチューバーの方も、弊社のクライアント様の中で多くなりました)、実はこのGoogle AdSenseも、弊社のメルマガでも何度か書かせていただいた「消費税法の一部改正」の影響を受けます。

なので、アドセンスで収益を上げているアフィリエイターさん等で、平成27年10月1日以降、何ら扱いを変えていない方や、今何の話をしているのかわからないといった方は、税務署から指摘を受ける可能性もありますので、特に注意して下さい!

Google AdSenseが影響を受ける消費税法の改正とは?

平成27年度の税制改正で「電気通信回線を介して行う役務提供の内外判定基準」について見直しがされました。

これについては過去の記事でもご紹介しましたが、税法条文はすごく固くて分かりにくい表現ですので、分かりやすく説明しますと、要はインターネットのダウンロード販売やクラウドサービスを利用、もしくは提供した際に、その取引が国内取引になるのか、国外取引になるのかの判定基準が見直されたということです。

それまでは、サービスの提供元の会社の住所地等で判定していたものが、この改正以後は「サービスの提供を受ける側」の住所地等で判定されることになったのです。

具体的な例に置き換えてみると、例えば今までは私達日本の事業者等が、オンライン教材のダウンロード販売をした場合の売上は、国内の消費者が相手であっても、海外の消費者が相手であっても、消費税の課税売上高だったものが、これからは海外の消費者向けに販売した売上高に関しては、消費税の課税の対象とならない売上高になったというわけです。

すごく複雑かも知れませんが、対処法は後に述べるとして、皆さんにとって最終的にどういったことが起こるのかというと、この判断を誤ってしまうと、消費税の(納付・還付を含めた)額に影響を及ぼすばかりか、そもそも消費税の課税事業者なのか、免税事業者なのかの判断も変わってきてしまうのです。

この改正の影響を受ける「電気通信回線を介して行う役務提供」とは?

国税庁では、電気通信役務の提供の範囲や制度の仕組み・留意点などについて「国境を越えた役務の提供に係る消費税Q&A」を公表しています。

それによれば、電気通信役務の提供に該当するものとして、

  • インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信
  • 顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
  • 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
  • インターネット等を通じた広告の配信・掲載
  • インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)
  • インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
  • インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
  • インターネットを介して行う英会話教室 など

とされています。

一方、電気通信役務の提供に該当しないものとしては、

  • 電話、FAX、電報、データ伝送、インターネット回線の利用など、他者間の情報の伝達を単に媒介するもの(いわゆる通信)
  • ソフトウエアの制作等(著作物の制作を国外事業者に依頼し、その成果物の受領や制作過程の指示をインターネット等を介して行う場合)
  • 国外に所在する資産の管理・運用等(資産の運用、資金の移動等の指示、状況、結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われる場合)
  • 国外事業者に依頼する情報の収集・分析等(情報の収集、分析等を行ってその結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われる場合)
  • 国外の法務専門家等が行う国外での訴訟遂行等(訴訟の状況報告、それに伴う指示等について、インターネット等を介して行われる場合)
  • 著作権の譲渡・貸付け(著作物に係る著作権の所有者が、著作物の複製、上映、放送等を行う事業者に対して、当該著作物の著作権等の譲渡・貸付けを行う場合に、当該著作物の受け渡しがインターネット等を介して行われる場合)

となり、通信そのものや情報や成果物をインターネットを介して送信するといった、他の資産の譲渡等に付随して電気通信回線を介する行為については該当しないこととなります。

なお、この改正は平成27年10月1日以後に行われる取引について適用されることになりますので、該当する取引をしておられる方は十分に注意が必要です。

具体的にGoogle AdSenseの消費税はどうなるのか?

Google AdSenseは、インターネット等を通じた広告の配信・掲載に該当すると考えられますので、この改正の影響を受けて国内取引か国外取引かの判定結果が変わることになります。

Google AdSenseは、事業者が「Google Asia Pacific Pte Ltd.」」などの【外国法人に対して広告配信による役務提供を行う】サービスですので、今までは、国内の事業者が、外国法人に対して行う広告配信による役務の提供のため、国内取引として消費税の課税対象となっていました。

※ただし、この取引は外国法人(消費税法上の非居住者)に対しての役務の提供であるため、輸出免税取引として扱われ、0%の課税がなされていました。

何とも複雑な話ですが、簡単に言えば、Google AdSenseでの取引は、消費税の対象となる取引ではあるが、売上には消費税が含まれていなかったため、広告配信などで支払った費用に消費税が含まれている場合には、その消費税を還付してもらうことが出来ていた訳です。

しかし、平成27年10月1日からは、役務の提供を受ける者の住所等(つまり「Google Asia Pacific Pte Ltd.」」などの所在地)で、国内取引なのか国外取引なのかの判定が行われるように消費税法が改正されたため、Google AdSenseについては、例え皆さんが国内の事業者であっても国外取引として消費税の課税の対象にならない取引(いわゆる不課税取引)になったのです。

具体的な処理としては、消費税の税区分を「輸出免税」から「対象外」に変更する必要があり、その結果、消費税の課税売上割合が変わることによって、今まで消費税の還付を受けていた場合でも、消費税の還付を受けられなくなる可能性もあるのです。

まとめ

輸出免税(0%課税)と消費税の課税の対象外(不課税)は、一見どちらも消費税額が発生しないため、「どっちにしてもGoogle AdSenseの売上には消費税が含まれないわけだから今までと変わらないよね?」と思っている方がもしいらっしゃったら、それは大間違いなので、そのままだと税務署からペナルティーの税金が課されるなど、痛い目にあってしまう可能性が出てきます。

非常にややこしい内容ですが、もし今回の内容がよく分からないという方は、弊社に限らず、ネットビジネス(特にGoogle AdSense)に詳しい税理士などに相談してみることをおすすめいたします。

ちなみに、自分は税理士や会計士に全て任せているから大丈夫!という方がおられるかも知れませんが、特にネットビジネスや海外とのやりとりに詳しくない専門家さんの場合、実際に正しく処理されてなかったケースも多く、税務署から指摘をされたり、追加でペナルティを課せられたケースも少なくないようですので、これを期に、Google AdSenseの売上がどう処理されているのか確認してみられることをお勧めします。

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