オークション

最近では、eBayや中国のタオバオやアリババから商品を仕入れて輸入転売をされている方の他、国内せどりなどの物販を、ビジネスや副業としてされている方も増えてきており、弊社のクライアント様の中にも非常に多くおられます。

中でも、Amazonや個人のネットショップでの販売以外に、ヤフオクなどのネットオークションで販売されている方も非常に多いのですが、特にオークションの場合、実は確定申告が必要な場合とそうでない場合とがあったり、確定申告の際に注意すべきポイントがいくつかありったりします。

それらを知らなかったがために損をしたり、また最悪の場合には税務署から指摘をされて、後でペナルティーの税金を納めさせられる可能性もありますので、今回はネットオークションの確定申告のやり方について解説しましょう。

 

まずはオークションの確定申告が必要かどうかを確認しよう

冒頭でも少しお話しましたが、まず大前提として、日本に居住されている方の場合、得た所得に対しては所得税が課せられるのですが、オークションに関して言うと、それが不要になるケースがあります。これに関しては以下にまとめてありますのでそちらをご覧下さい。

関連記事>>>「オークションの税金は申告しなくてもバレない?正しい対策法とは?」

次に、上記に該当しない場合(ビジネスや副業としてされている方は上記に該当されません)、ネットオークションで一定額以上の利益が出ると確定申告が必要になってくわけですが、ではその「一定額以上」とは具体的にいくら以上なのでしょうか。

実は、この基準となる利益の額については、その人それぞれの状況によって異なってきます。

給与所得者(サラリーマンなど)が副業でオークション販売を行っている場合は?

会社員などの給与所得者の場合、お勤め先からのお給料以外に、年間20万円を超える利益(正確には「所得」)があれば、原則として確定申告が必要になります。

ただし、この20万円というのは、給与所得と退職所得以外の所得の合計額で判断することになりますので、例えばネットオークションの他にも、アフィリエイトやFXなどで利益が出ている方の場合、オークションだけだと超えていなくても、それら全てを合計して20万円を超えるようであれば、確定申告が必要になりますので注意が必要です。

また、お勤め先が複数あり、2ヶ所以上からお給料をもらっているために確定申告が必要な方や、住宅ローン控除や医療費控除などの還付を受けるために確定申告をするケースなど、要するに「年末調整のみで納税が完了しない」場合は、年間の利益が20万円以下であっても確定申告が必要になりますので、併せて注意が必要です。

専業でオークション販売を行っている場合は?

個人事業主として、専業でネットオークションをしている方や、主婦や学生などでパート・アルバイト収入がない方、つまり、給与所得者でない方の場合には、年間38万円を超える利益(正確には「所得」)があれば、原則として確定申告が必要になります。

この38万円という基準ですが、給与所得者同様、ネットオークション以外の利益がある場合には、それら全ての合計額で判断することになりますのでご注意ください
(※令和2年分の確定申告からは、基礎控除の額は48万円になりました)。

オークションの確定申告で売上を集計する際の注意点とは?

さて確定申告をするにあたって、まずは自身の売上を正確に把握することがとても重要になってきます。

非常に当たり前のことのようですが、毎月の無料相談会などでお話を伺っていると、結構勘違いされている方も多く、万が一漏れがあると後から税務署に指摘をされ、本来納める必要のないペナルティとしての税金までも、上乗せされて納めなければならない可能性も出てきます。

そんな事にならないよう、具体的なポイントをお話しますと、売上の集計をするために、ネットオークションの場合、ほとんどは銀行振込で売上が入金されることが多いかと思いますので、通帳の入金額を漏れなく集計すれば良いと思われがちです。

もちろん、それで大丈夫なこともあるのですが、税務署から指摘されやすい注意すべきポイントが2つありますので、それらを順にお教えします。

「入金額=売上」ではない場合がある?

オークションには、利用しているシステムによって、実は入金のパターンが複数あるのですが、一般的には

  1. 収入金額がそのまま通帳に入金され、システム利用料などは別口であとから引き落とされる。
  2. 収入金額からシステム利用料などが差し引かれた金額で通帳に入金される。

の2種類に分かれます。

前者であれば、「通帳への入金額=売上」として集計をして問題はないのですが、後者の場合は、「通帳への入金額=売上」として集計をしてしまうと、実際の売上金額よりも少ない金額になってしまい問題となる場合があります。

ここで勘の鋭い方は、

「システム利用料などは必要経費として売上から差し引けるのだから、利益の金額は変わらないのでは?」

と思われた方もおられるかも知れません(必要経費については、「3.オークションの確定申告で必要経費になるものとは?」で詳しく述べます)。

確かに、所得税に限った話では利益の金額が変わらないため、前者・後者共に通帳への入金額で集計しても問題にはなりませんが、消費税の面を考えると、後者の場合に「通帳への入金額=売上」で集計してしまうと、課税事業者(消費税の申告をしなければならない事業者)かどうかの判断が変わってきたり、納めるべき消費税額が不足する可能性があります。

特に2.のシステムのネットオークションを利用されている方は、手数料などが差し引かれる前の収入額で、売上を集計するように注意しましょう。

売掛金を正しく計上する方法とは?

個人の場合、その年の1月1日から12月31日までの売上を集計する必要があるわけですが、年内にその商品が売れたことが確定していても、実際にお金が入金されるのは年明けになるというケースもあるかと思います。

この、年内にその商品が売れたことが確定しているけれども実際にお金が入金されていない分の金額を「売掛金」と言いますが、税法上、売掛金はその年の売上として計上し、税金を納めなければなりません。

つまり、通帳から売上を集計する際には、ぴったり12月31日までの入金分を集計するのではなく、翌年1月以降の入金についても、年内に売れたことが確定している分については漏れなく集計する必要がありますので注意しましょう。

余談ですが、この売掛金や、利用しているオークションシのステム等により、売上確定から実際の入金が行われるまでの間隔はまちまちになりますので、特に複数のオークションを併用されている場合などは、よほど注意していなければ、計上漏れが起こってしまうケースも珍しくありません。

弊社はこれまでネットビジネスの税務調査に多数立ち合ってきておりますが、税務署もその辺りのことは熟知していますので、実はこの部分は、税務調査が行われると真っ先にチェックされるポイントでもあります。

税務調査についてはまた別の機会に詳しく述べさせていただきますが、あとから痛い目に会わないよう、売掛金の計上漏れには細心の注意を払うように心掛けましょう。

(※現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書を提出している場合などは上記の限りではありません。)

オークションの確定申告で必要経費になるものとは?

売上の集計が終わったら、次は必要経費の集計です。所得税法で定められた必要経費とは、

総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用

(所得税法第37条第1項より一部抜粋)

とあります。簡単に言えば、ネットオークションに直接関連のある費用ということになりますので、一般的には、

  • 商品の仕入代金
  • 商品の発送費用や梱包費用
  • オークションなどのシステム利用料
  • 銀行などの支払手数料
  • ネット通信費やプロバイダ料
  • 水道光熱費や家賃

などが考えられるでしょう。

ただし、ネット通信費や水道光熱費、家賃(※2)など、事業専用に使っているわけではない(日常生活でも使っている)ものについては、100%必要経費として計上するのではなく、事業で使用している割合分だけを計上するようにしましょう。

(※2)家賃については、過去の裁判で事業所得の必要経費に算入することは出来ないとされた判例があり、単純に按分するだけでは不十分であることに注意が必要です。詳しくは以下にまとめてありますのであわせてご参照下さい。

関連記事>>>『ネットビジネスで計上できる必要経費と注意点を税理士が解説!』

オークションの確定申告でトラブルを防ぐための2つの方法とは?

売上と必要経費の集計が正しく出来たら、あとはその内容に従って収支内訳書、または、青色申告決算書と確定申告書を記入していくことになります。

ただ、皆さんの最終的な目的は、確定申告書を作成・提出することではなく、提出した確定申告書に対して税務署から指摘を受けないようにする、もしくは、万が一の税務調査が入った場合にも、余計な税金を納めなくて済むよう、適切な処理を行っておくことだと思います。

なので弊社へよく寄せられるご相談の中にも、上記の経費に含まれるかどうか微妙なものについて「これは経費になりますか?」といったご質問や、消費税に関することなどが、特に確定申告前になると多く寄せられます。

ここで知っておくべきポイントとしては、

  1. 税法には具体的にコレとコレが経費になると書かれているわけではない
  2. 税務署の回答が正しいとは限らない

ということです。1.については、特にネットビジネスは日進月歩していますので、細かいことまで税法に書くことは不可能です。

要は、税務署から指摘をされた時に、客観的な根拠資料を基に太刀打ちできるかどうかになりますので、ここが専門家の腕の見せ所でもあるのですが、仮に個人でされる場合でも、領収書に「どういう理由で何に使ったのか」など、出来る限り具体的にメモしておくことも1つの有効策です。

次に2.ですが、分からないことがあれば、管轄の税務署に聞かれる方も多いかと思います。

但し気を付けなければならないのは、税務署の職員というのはネットビジネスの税金について、必ずしも詳しいわけではありません。

つまり、その回答が必ず正しいとは限りませんし、実際、お問い合わせをいただく方のお話を伺っていると、ネットやITなど複雑なことに関しては、間違った回答をされることも多々あります。

なので弊社に限らず、周りにネットビジネスに詳しい専門家がおられずに、税務署へ質問をされる場合は、必ず回答された方の名前と日付を控えておくようにして下さい。

それにより、後に税務署から指摘を受けた場合でも、その回答に基づいて申告をしたということを証明できれば、ペナルティーに関しては免れる可能性がありますので、必ず控えておくようにしましょう。

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