この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
ネットビジネス専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
有名YouTuberの他、せどりや転売・物販、アフィリエイトなど、各ネットビジネス界のパイオニアらの税務顧問を多数担当。マスコミ実績多数。
自身も業務でネットを活用することで、北は北海道から南は沖縄の離島まで多くのクライアント実績を持つ。
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最近では弊社のクライアント様の中にも、YouTubeを使って広告収入を得ておられる、いわゆる「ユーチューバー」の方が増えてきており、顧問を務めさせていただいている方の中には有名な方もおられるのですが、実はYouTubeからの収入を確定申告する際、一つ知っておかないといけない盲点があります。
それを知らずに申告してしまい、あとで税務署から調査に入られて、追徴されるケースが全国で起こっていますので、今回はそんなYouTuberの税金について気を付けるべきポイントを解説していきましょう。
ユーチューバーが確定申告で注意すべき収入の種類とは?
弊社で税務処理をさせて頂いていると、例えば有名なユーチューバーの方などは、企業と直接広告契約を結んでおられたりもするのですが、一般的にYouTubeからの収入というのは、YouTubeの動画内に表示される広告収入、いわゆるGoogleAdSense(グーグルアドセンス)での収益になるかと思います。実はこのアドセンスでの収入が少々厄介なのです。
消費税の還付に気を付けるべし!
少し話が逸れますが、弊社のクライアント様の中には、YouTuberの方の他にも、様々なネットビジネスをされている方がおられますけども、最近多いのが、中国のアリババやタオバオ、その他、欧米のAmazonやeBayから商品を輸入して、物販をしておられるいわゆる「輸入転売ビジネス」をされている方です。
その際、よく聞かれるのが「消費税の還付」、つまり消費税が返ってくる手続きについてなのですが、要は日本と海外とでは消費税率が異なることから、ちゃんとした手続きを行えば、その差が返ってくるというわけで、実はGoogleAdSenseにも、この消費税の還付が関係してくるのです。
そもそもGoogleAdSenseには消費税が含まれていなかった!?
アドセンスで収益をあげようと思うと、まずGoogleに契約申請をして通る必要がありますが、その契約相手というのは、「Google Asia Pacific Pte Ltd.」などの、広告配信による役務提供を行う外国法人となります。
少々ややこしい話になりますが、元々国内の業者が、外国法人に対して行う広告配信による役務の提供に関しては、国内取引として消費税の課税対象となっていましたが、上記の場合は、輸出取引に該当することから、輸出免税取引として扱われ、厳密に言えば、消費税が含まれていないというと語弊がありますが、要するに0%の課税がされていたのです。
そしてその判断基準というのは、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地、つまり、サービスの提供を行うみなさんの事務所等の所在地で判断されていました。
つまり簡単に言うと、元々GoogleAdSenseでの売上は輸出免税により0%の課税になりますので、預かった消費税は0円。その為、サーバー代や広告配信など、アドセンスを運用するために支払った費用に消費税が含まれていた場合は、その消費税分を還付してもらうことが出来ていたというわけです。
改正消費税法により変更に!
これが税法改正により、平成27年10月1日以降、変更になりました。なぜこんなことが起きているかと申しますと、
改正後の消費税の変更点
平成27年9月30日までは、AdSenseによるサービスの提供が国内取引なのか国外取引なのかの判定基準として、前述の通り、サービスの提供を行うみなさんの事務所等の所在地で判断されていました。
そのため、みなさんの事務所等の所在地が日本国内であれば、国内取引として消費税が課税されていました。
(ただし、AdSenseの場合、輸出取引に該当するため、輸出免税の規定により0%課税。)
しかし、改正後は役務の提供を受ける者の住所等、つまり、広告配信というサービスの提供を受けるGoogleの所在地で国内取引なのか国外取引なのかが判断されることとなりましたので、平成27年10月1日以降は、GoogleAdSenseについては、国外取引として消費税の課税対象とならない取引(対象外取引や不課税と言われます。)となりました。
輸出免税(0%課税)から対象外に変わると、なぜ還付が受けられないのか。消費税法では、取引を次の4種類に分けています。
- 課税取引
- 輸出免税(0%課税)
- 非課税取引
- 対象外取引(不課税)
消費税の還付は課税売上割合によって決まりますので、還付を受けるためには課税売上割合が非常に重要になります。
ちなみに、課税売上割合は次の計算式で求められます。
ここで着目していただきたいのは、計算式の分母にも分子にも、対象外(不課税)は含まれていないという点です。
例えば、みなさんの売上がAdSenseからの売上100のみであったとしましょう。
改正前は、
より課税売上割合は100%で、原価や経費に含まれる消費税が全額還付されますが、改正後は、
より課税売上割合が0%となるため、消費税の還付を受けることができないのです。
改正後の消費税の対処法について
前述の通り、消費税法の改正により、平成27年10月1日以降はGoogleAdSenseからの売上のみで消費税の還付を受けていた方は、消費税の還付が受けられなくなりました。
消費税は元々ややこしいものですので、今回の内容も理解し辛い部分もあったかも知れませんが、消費税の還付については提出された申告書を入念にチェックされるため、そもそもそのまま消費税が還付されるかどうかは疑問ですけども、万が一、その後も消費税の還付を受けているようであれば、その状態で税務調査が入った場合、指摘を受けることは明らかですので(ペナルティーを課せられる可能性が高いです)、ウヤムヤにせず、事前に自主的に修正申告をしておかれる方が良いでしょう。
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