この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
ネットビジネス専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
有名YouTuberの他、せどりや転売・物販、アフィリエイトなど、各ネットビジネス界のパイオニアらの税務顧問を多数担当。マスコミ実績多数。
自身も業務でネットを活用することで、北は北海道から南は沖縄の離島まで多くのクライアント実績を持つ。
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弊社は2009年に創業したネットビジネス専門の会計会社(税理士事務所)で、これまで超有名ユーチューバーさんをはじめ、金の盾や銀の盾をお持ちの方や始めたての方など、全国のYouTuberの方々の他、せどりやアフィリエイトなどネットビジネスをされている、北は北海道から南は九州・沖縄の離島の方まで顧問実績がございます。
中でも無料相談でよく頂く質問として
「ユーチューブを始めるにあたって開業届を出す必要はありますか?」
というのを聞かれることがありますが、その判断基準やメリットとデメリット、申請費用や手続きの流れと注意点など、予め理解しておくべきポイントがありますので、今回はそれらについて順を追って解説していきます。
▼以下の目次の知りたい内容をクリックすることでジャンプが可能です。
YouTuberに開業届は必要?提出するタイミングとは?
開業届は、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人が新たに事業を始める際に税務署へ提出する書類です。
提出期限は事業開始日から1か月以内と定められています。
これについては「所得税法 229条」で定められており、条文では次のように規定されています。
居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から1月以内に、税務署長に提出しなければならない。
引用元:所得税法 第229条 開業等の届出
要約すると、居住者・非居住者を問わず、国内で不動産所得・事業所得・山林所得を発生させる事業を始めたり、事務所等を新設・移転・廃止したりした場合には、1か月以内にその旨を税務署へ届け出なければならないとなっています。
開業届を出す必要のある人は?
「開業届」と聞くと、会社を辞めて独立する人が提出するものとイメージされがちですが、実際には、たとえば会社員として働きながら副業で事業所得を得る場合も、個人事業として扱われますので開業届の提出が必要になります。
YouTuberが開業届を提出する理由と得られるメリット
YouTuberが開業届を出す際、「青色申告承認申請書」の申請を同時に行うことができ、青色申告にすることで以下のような特典を得られます。
- 青色申告特別控除:複式簿記での記帳などの条件を満たすことで、最大65万円の特別控除を受けられます(簡易簿記でも10万円の控除を受けられます)。
- 赤字の繰越し:赤字が出ても3年間繰り越すことができ、翌年以降の黒字と相殺できます。
- 家族従業員への給与支給を経費計上:「青色事業専従者給与制度」を使うことで、家族従業員に支払う給与を経費として計上できます。
その他にも以下のようなメリットが考えられます。
事業者としての信用力アップを見込める?
開業届は税務署に対して「正式に事業を行っている」ことを証明する書類になりますので、第三者からの信用が高まり、以下のような場面でプラスに働くことがあります。
物件の契約審査で有利になる可能性がある?
YouTube配信のためのスタジオや、機材や備品などの保管用スペースなどを借りる際、開業届を提出していることで、事業を営んでいる証拠として認められ、賃貸契約の審査で有利に働く可能性があります。
融資・補助金・助成金の申請に有利?
銀行融資、日本政策金融公庫の創業融資、各種補助金・助成金の手続き等において、事業を証明するために開業届の控えを求められることがあり、提出することで信頼度が上がり、審査に有利に働くことが考えられるでしょう。
屋号付きの銀行口座を作れる
開業届を出すことで「屋号付き」の銀行口座を開設することが可能になります。
YouTube活動用の入金や備品購入にこの口座を使用することで、取引先にも事業用口座として認識されやすく、信頼性が高まることが考えられます。
また税務上のポイントとして、個人でビジネスを行う場合、税務調査の際にプライベートの口座と混在していると、全取引の開示を求められ、本来見せなくても良いものまで見られてしまいますので、資金の透明性を確保するためにも、必ず事業用と個人用の口座は分けておくことが大切です。
また、銀行によっては口座開設時に開業届の控えが必要になる場合もありますので、大事に保管しておきましょう。
クレジットカードの審査でも職業証明として役立つ?
個人事業主には会社員のような在職証明書がないため、クレジットカードの審査において、職業証明として開業届の控えが役に立つケースがあります。
また銀行口座同様に、クレジットカードも事業用とプライベート用を分けておくことで経理処理が明確になり、税務上のリスク軽減に繋がるでしょう。
開業届を出さなかったらどうなる?罰則やデメリットは?
YouTuberが開業届を税務署に出さなかったとしても、提出したことで得られるメリットが受けられないだけで特に罰則はありません。
YouTuberが開業届を提出して個人事業主になる際の注意点とは?
YouTuberが開業届を出す前に知っておくべき注意点がいくつかありますので、事前に理解しておくようにしましょう。
開業届を提出すると失業手当を受給できなくなる?
開業届を税務署へ提出した時点で、「求職活動をしている状態ではなく、自ら事業を開始した」と認識されますので、会社を退職してYouTuberとして独立するケースなどでは、失業手当(雇用保険の基本手当)の受給資格を失うことになります。
開業届の提出に必要な費用はいくら?
開業届の提出自体は無料で行えます。
ただし、開業に付随して発生する可能性のある費用がいくつか存在しますので、それについて見ていきましょう。
書類作成や提出作業を専門家へ依頼する場合の費用
開業届は自分で作成して提出することができますが、それらの面倒な作業を税理士に依頼をすることも出来ます。
専門家に任せる場合、事務所の料金体系によって差はあるものの、大体数千円〜数万円になることが一般的です。
尚、弊社の税務サービスをお申し込みの方は、弊社がこれらの書類を無料で作成致します。
印鑑の作成費用
個人事業として活動を始めるにあたって、事業用の印鑑を新たに作成する場合、印鑑登録は無料ですが、作成には費用がかかります。
素材やサイズによって価格に差はありますが、一般的なものであれば数千円から数万円程度が相場でしょう。
YouTuberが開業届を提出するときに必要な書類とは?
YouTuberが開業届を出す際に準備すべき必要書類と取得方法について解説します。
個人事業の開業・廃業等届出書
この届出書が、一般的に「開業届」と呼ばれているものです。
国税庁のホームページからダウンロードできるほか、最寄りの税務署でも入手可能です。
青色申告承認申請書
青色申告を利用したい方は、開業届と一緒にこの申請書も提出しましょう。
こちらも国税庁サイトからダウンロードできます。
本人確認書類
提出時には、本人であることを証明する書類が必要です。
マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなどの身分証明書を事前に準備しておきましょう。
YouTuberの開業届の具体的な書き方
YouTube事業における「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の具体的な記入方法とポイントを実際の開業届を使って詳しく解説します(以下の項目と画像内の数字がリンクしています)。
1. 提出先と提出日を記入する
1の欄には、管轄の税務署と提出日を書きます。
管轄の税務署は国税庁の公式サイトで調べることができます。
提出日は、実際に窓口に持参する日もしくは投函する日を記入しましょう。
原則、開業日から1か月以内の提出が求められます。
2. 納税地を記入する
納税地は以下から該当するものを選んで、その住所と電話番号を記載します。
- 住所地:普段生活している自宅の所在地
- 居所地:一定期間住んではいるものの、生活の本拠とはいえない場所
- 事業所等:撮影場所や作業スペースなど、事業活動を行う場所
3. 氏名・生年月日・個人番号を記入する
氏名(ふりがな含む)、生年月日、マイナンバー(個人番号)を正確に記入します。
なお、押印は不要なので署名のみで問題ありません。
4. 職業を記入する
YouTuberの場合、「動画制作業」や「インターネットを利用した情報発信業」などが多い印象です。
厳密な決まりはありませんが、事業内容をイメージしやすいものが望ましいでしょう。
5. 屋号を記入する
屋号は事業名のようなもので、ブランドとして認知される名前になります。
今後の活動方針等を意識して決めると良いでしょう。
6. 届出の区分
新しく事業を始める場合は「開業」にチェックを入れます。
7. 所得の種類
YouTube配信を事業として報酬を得る場合は「事業所得」になります。
8. 開業日の記載
開業日には、YouTube活動を事業として開始した日を記入します。
尚、開始日については、撮影を始めた日や動画をアップした日など厳密な決まりはありません。
9. 関連届出書の提出について
「青色申告承認申請書」や「課税事業者選択届出書」など、同時に提出する書類がある場合は「有」にチェックします。
10. 事業の概要の書き方
実際に行う活動を簡潔に記述します。
例として「動画制作およびインターネットを活用した情報発信業」など、業務内容がひと目でわかる表現が望ましいでしょう。
11. 給与の支払い状況
従業員を雇う予定がある場合に記入します。
専従者(家族従業員)と一般従業員の人数、給与体系(時給制・月給制など)を記入し、源泉徴収を行う場合は「有」にチェックします。
12. 「源泉所得税の納期の特例の申請に関する申請書」提出の有無
この申請書を提出する場合は「有」にチェックします。
これを提出することで、毎月納付ではなく年2回まとめて納付することが出来るようになります。
また、提出時点で従業員を雇用する場合は「給与支払を開始する年月日」も忘れずに記載しましょう。
YouTuberの開業届の出し方について
YouTuberが開業届を出す際の、3つの提出方法とそれぞれの注意点やメリットについて紹介します。
税務署へ直接持参して提出する
最もオーソドックスなのが、管轄する税務署の窓口へ足を運んで提出する方法です。
職員にその場で質問できるため、記載内容に不安がある方や、初めての手続きで戸惑いがちな人に向いていると言えるでしょう。
窓口の一般的な受付時間は平日8:30〜17:00ですが、来署前に確認されることをお勧めします。
郵送で提出する
税務署が自宅から遠い、あるいは日中の時間帯に出向けない場合には、郵送で提出する方法も選べます。
ただし、書類に誤りや不足があると受理されず返送される可能性もあるため、投函前に記入内容のチェックをしっかり行いましょう。
e-Taxを使用したオンライン申請
近年増えているのが、オンラインで開業届を提出できるe-Taxを使った方法です。
インターネットから手続きが完了するため便利ですが、利用には以下の準備が必要になります。
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー、または対応スマートフォン
- 「利用者識別番号」の事前取得
これらの環境が整えば、パソコンからいつでも手続きできます。
開業届の控えは必ず保管しておくこと
開業届の控えは、次のような場面で必要になることがあります。
- 屋号名義の銀行口座の開設時
- 小規模企業共済の申し込み時
- 商標登録の申請時
- 金融機関で融資を受ける際
- 保育園の入園申請など、就業状況の証明が求められるとき
オンラインで提出した場合は、e-Taxの受信通知や電子申請等証明書を控えとして保管しておきましょう。
開業届を提出すると副業が会社にバレる?
副業としてYouTube配信などの個人事業を始める時、「開業届を出すことで勤務先に伝わってしまうのでは?」と心配される方は少なくありません。
ですが、開業届そのものが会社へ通知される仕組みにはなっておらず、事業の届け出として税務署内で扱われるものなので、提出しただけで勤務先に自動的に伝わることはありません。
ただ、まったくバレる可能性がないわけではなく、最も多い要因は住民税の額が増えることでバレるケースです。
副業で給与以外の所得が発生することで住民税の額が増え、通常は「特別徴収」として会社の給与から差し引かれるため、前年より住民税が上がることで会社に見つかる可能性があるのです。
これを回避するには、確定申告の際に住民税を「自分で納付する(普通徴収)」に変更しておくことで、副業部分の住民税は市区町村から本人へ直接請求されるため、会社側に住民税増加が伝わることがなくなり、結果として副業が知られるリスクを下げることが出来ます。
YouTubeの利益を最大限にするためには?
YouTuberとして活動を始めた方で「登録者数や閲覧数を伸ばすこと」に注力される方は多いですが、同時に忘れてはいけないのが、得た利益をなるべく減らさず守ることも重要になってきます。
たとえば、開業後に青色申告の特典である「最大65万円の控除」を受けようと事業所得として申告しようと考えられる方は多いですけども、事業所得の条件にまったく当てはまらない場合はともかく、その要件自体が曖昧なため、ネットビジネスの税務調査に詳しくない税理士が対応した結果、より多くの税金を徴収したい税務署から否認されてしまうと、青色申告の特典を受けられなくなることもあります。
特にYouTuberをはじめとしたネットビジネスの税金対策は、一般的な業種にそれと比較して特有の対応が求められる場面が多くあり、税理士であっても専門知識やスキル、経験がないと対応に困られることも多いようで、弊社の無料相談に来られた方の資料を拝見していても、
「顧問税理士がいるはずなのに、どうしてこんな不利な処理がされてるんだ……??」
と感じることもしばしばです。
その結果、ネットビジネスに精通した税理士を選べるかどうかで、将来あなたの手元に残る利益が大きく変わってしまうのが現実です。
つまり、利益を上げる攻めの対策も重要ですが、それと同じぐらいあなたの利益を最大限に確保する守りの対策も重要になってくると言えるでしょう。
▼YouTubeの税金や節税に強い税理士を失敗せずに選ぶ方法についてはこちらをご参照ください。
YouTubeの税金や節税、税務調査やインボイス等に強い税理士の正しい選び方について、そのポイントや確認方法などを解説しています。
まとめ
ここまで、YouTuberに開業届は必要か、そのメリットやデメリット、費用や必要書類の記入の仕方や提出方法などについて解説してきました。
YouTubeなどのネットビジネスは始めやすいことから、開業届のことや税金のことについて後回しにされる方も多いですが、結果的にそれで損をしてしまう可能性もありますので、事前に理解をしておくことが重要になってくるでしょう。
YouTubeの収益における税金対策や確定申告のやり方について、いくらから、どれくらいの税金がかかるのか?学生の場合や会社員のケースなど、税理士が詳しく解説しています。
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろんご相談頂いても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。










