SEやプログラマーの方、デザイナーやその他のビジネスをされている方など、最近ではフリーランスとして働いてらっしゃる方も多いかと思います。

サラリーマンの頃は、自分の仕事だけをこなしていれば良かったのが、いざ独立してフリーランスになると、依頼をされた仕事の対応以外にも、新規顧客獲得のための営業や、見積もりから価格の交渉、場合によっては納品書や請求書の発行に加えて、お金の流れを扱う経理業務など、やることが増えることの大変さを痛感されている方も多いかも知れません。

弊社で毎月行わせていただいている無料相談会やメールでのお問い合わせでも、フリーランスの方の税金の計算方法や確定申告のやり方について、弊社に丸投げをされる方や、ご自身で処理をされたい方も含めてよくご相談をいただきますので、間違った処理を行わないよう、今回はフリーランスの方の所得税とはどんなものなのかについて、基本的なことから解説してみたいと思います。

 

そもそも「所得」とはなんぞや?

まずは基本的なことのおさらいですが、確定申告をされる際、所得を申告することになるわけですけど、相談会などでお話を伺っていると、「収入」と「利益」、あと「所得」などを混同して話をされている方が結構おられます。

大前提ですが、税金は収入でも利益でもなく「所得」に対して課税されます。

ここが曖昧だと確定申告でミスをしかねませんので、しっかりと理解しておく必要があります。

具体的に見てみましょう。

例えば、1件10万円のお仕事を依頼され、お仕事が終わってからあなたの銀行口座に10万円の振込があったとします。この10万円が「収入」になります。

ですが、この10万円のお仕事を仕上げる為に、交通費が5,000円、書籍代として3,000円が掛かったとします。そうすると、収入の10万円から交通費の5,000円と書籍代の3,000円を引いた92,000円があなたの儲け=「利益」です。

この利益から、家族に支払った給与(専従者給与)や青色申告特別控除(10万円 or 65万円)を差し引いた金額が「所得」となります。

ただ、実際に所得税を計算しようとすると、必要経費以外にも所得から様々な控除を差し引いて計算することになります。

フリーランスに関係する所得控除にはどんなものがあるの?

所得から差し引かれる控除を「所得控除」と言いますが、それには次のようなものがあります。

  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除
  • 配偶者控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

などです。これらは、生命保険や地震保険に加入しているのか、結婚していたり子供がいるのかなど、その人それぞれの状況に合わせて計算していくことになります。

つまり、税金がかかる所得(課税所得)とは、

『収入金額-必要経費-青色申告特別控除など-所得控除金額=課税所得金額』

になるということですね。

所得税の額はどうやって調べるの?

前章で「所得」についてお伝えしましたが、個人の方の場合、1月1日から12月31日の1年間の「所得」に対して課せられる税金が「所得税」になります。

ちなみに所得税は、「累進課税」といって、以下の表のように所得が多くなればなるほど所得税の金額が多くなります。

例えば、Aさんの所得が180万円だったとしましょう。

課税される所得金額は195万円以下になりますので、税率は5%で控除額は0円になります。これを元に所得税を計算してみると180万×5%=9万円、これがAさんの所得税額になります。

次に、所得が750万円だった場合は、上記の表に当てはめて見ると、課税される所得金額は695万円を超え900万円以下に当てはまるので、税率は23%で控除額は636,000円になります。なので、これを元に実際に計算してみると、750万×23%-636,000=1,089,000円の所得税になるというわけです。

所得税と一緒に「復興特別所得税」も納める必要がある

所得税を納める必要のある人は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの期間、「復興特別所得税」というものも一緒に納める必要があります。

この復興特別所得税は、もちろんフリーランスの方だけにかかる税金ではなく、会社員等のお給料をもらっている人にもかかる税金になります。

では、そもそも「復興特別所得税」とは何かということですが、平成23年12月2日に交付され、平成25年1月1日から施行された、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」のことです。即ち、震災の復興に充てるお金を確保するための所得税というわけですね。

ちなみに計算方法としては、「基準所得税額の2.1%が復興特別所得税」となります。

なので例えば、日本に住んでいるフリーランスの方で、前項の表から割り出した所得税が80万円だった場合、80万×2.1%=16,800円が復興特別所得税になり、所得税と一緒に納める必要があります。

ちなみに基準所得税額とは、以下の表の通りとなります(図は国税庁ホームページより引用)。

基準所得税額

所得税(復興特別所得税を含む)以外の税金について

フリーランスが納めなければならない税金は、所得税(復興特別所得税を含む)以外にも次のようなものがあります。

住民税

住民税は、自分が住んでいる市区町村に納める税金です。

住民税には、所得税に応じて課税される「所得割」という金額と、課税要件を満たすことによって所得額に関わらず一定額が課税される「均等割」という金額があります。

所得税のように国に納める税金ではないため、各市区町村によって「均等割」の金額等が異なりますが、「所得割」については、一律で課税所得の10%となります。

ただし、課税所得を計算する際の控除額等は所得税額を計算する際のそれと異なる場合があるため、「所得税の課税所得=住民税の課税所得」ではありませんが、おおよその目安となる金額を知りたいという意味では、所得税の課税所得金額の10%と考えても良いかもしれません。

個人事業税

個人事業税は事業所の所在地として届出書を提出している都道府県に納める税金です。

地方税法により個人事業税を納めなければならない事業が定められていて、税率は事業の種類により3~5%となります(図は東京都主税局ホームページより引用)。

事業税

個人事業税には、年間290万円の事業主控除がありますので、事業による所得が290万円までは個人事業税は課されません。

※個人事業税を計算する際の所得額には、所得税の青色申告特別控除の適用がありませんので注意が必要です。

消費税

普段は消費者として消費税を支払っている人も多いと思いますが、フリーランスとして事業を行う場合、売上と一緒に消費税を受け取ることになります。

フリーランスの人は、この受け取った消費税を納めなければなりません。

ただし、消費税を納めなければならない事業者かどうかの判断は、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで判断することになります。

基準期間における課税売上高とは、原則として前々年の課税売上高と考えてよいですが、前年の1月~6月までの課税売上高が1,000万円を超えている場合など、必ずしも前々年の課税売上高だけで判断できない場合もありますので、自分で判断することが難しい場合には、専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

会社に勤めているとあまり意識することのない税金ですが、フリーランスになると、ご自身で確定申告をされる場合は、所得税、住民税、個人事業税、消費税など、これらを自分で納めなければならなくなります。

フリーランスとして売上を上げていくため、経理や税務はどうしても後回しになりがちだと思いますが、あまりにそれに時間を取られて、本業に影響が出る場合は、弊社に限らず信頼できる税理士に依頼をされるのも一つの方法でしょう。

その場合、一つ気を付けておかなければならないポイントとして、税理士と契約をしても、記帳作業や領収書の整理などは、自分でやらなければならないところも実は多く、それだと結局自分で作業をすることになりますので、事前に確認された方が良いでしょう。

税金は面倒だからと放っておいて後から痛い目にあうことのないよう、事前に税金の基礎を身につけておくことが大切です。

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