輸入転売ビジネスと消費税の還付

弊社のクライアント様の中には、アリババやタオバオなどから物を仕入れて転売される、いわゆる中国輸入転売ビジネスや、欧米のAmazonやeBayなどから物を仕入れて転売されたり、逆に国内で仕入れたものを、それらで販売される輸出転売ビジネスなど、海外と取引をしておられる、法人・個人のお客様がたくさんおられます。

その中で、大きく関わってくるのが消費税の還付(返還)です。

毎月行わせて頂いている無料相談会でも、よくそれらの質問をいただくのですが、あまり深く考えておられない方も結構いらっしゃいます。

ただ、取引額が多くなってきますと、消費税の還付も無視できない金額になってきますし、また間違った申告をしてしまうと、あとで税務署から指摘をされ、ペナルティーの税金を課せられることもありますので、そんなことにならないよう、今回は転売などの輸出入ビジネスの消費税について解説していきましょう。

 

そもそも消費税の還付とは?

消費税の還付とは、分かりやすく言うと払いすぎていた消費税を返還してもらうことですが、例えば国内で仕入れた商品を、海外のAmazonやeBay、またPayPalを使って販売するなど、輸出取引を行っている方が正しく申請をすることで還付されます。

例えば国内で商品を仕入れ、それを海外で販売した場合には、

  • 商品の仕入れや、その他の必要経費(国際輸送費を除く)には、消費税がかかる
  • 売上には、消費税がかからない

ということになりますので、一定の要件を満たす場合には、仕入時に課された消費税の還付を受けることができます。

消費税の還付手続きで気を付けるべきポイントとは?

払いすぎていたお金が還ってくるわけですから、やるに越したことはないのですが、ただ注意すべきポイントがいくつかあります。

というのも、消費税の還付を受けるための届出書と提出時期が結構複雑なのです。

日頃からご相談が多いので、以下に要点をまとめておきますので、ネットショップやAmazon、あとオークション(ヤフオク)やメルカリなどのフリマアプリ等を仕入れに使って、輸出取引をなされる方等は参考になさって下さい。

輸出免税を受けるために必要な証明書等

1) 郵便により輸出する場合

  1. 20万円超の場合は、輸出許可書または税関の輸出証明書
  2. 20万円以下の場合は、その事実を記載した帳簿または郵便物受領書等

2)1)の方法以外の輸出の場合

  • 輸出許可書、積込承認書または税関の輸出証明書

輸出免税を受けるために必要な事前の手続き

  1. 消費税の課税方式について、原則課税方式を選択する。
  2. 「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、課税事業者を選択する。

1.について

消費税の課税方式については、「原則課税方式」と「簡易課税方式」とがあります。

もし、あなたが「簡易課税方式」を選択しておられる場合には、「原則課税方式」に切り替える必要があります。

2.について

もしあなたが、免税事業者に該当される場合は、輸出免税を受けるために、「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。

また、届出書の提出時期や、選択の時期が後に大きく影響を及ぼしてきます。

簡易課税や、消費税の具体的な計算方法などについては以下にまとめてありますのでご覧下さい。

関連記事>>>『ネットビジネスの消費税計算、簡易課税、還付について税理士が解説!』

必要書類を残しておかないと還付が認められない?

もう一度、消費税の還付について簡単におさらいしておきますと、モノを販売した時には売上と一緒に消費税を預かり、商品を仕入れたり、経費を支払ったりした時には、その料金と一緒に消費税を支払っていることになります。

これら、預かった消費税と支払った消費税の差額を納付することになるのですが、海外に販売した場合には、日本の消費税はかかりませんので、売上と一緒に預かった消費税は0。

一方、国内で支払った仕入や経費には消費税が含まれていますので、その差額はマイナスとなり、消費税が還付されるという仕組みです。

この支払った消費税を差し引くことを「仕入税額控除」と言うのですが、この仕入税額控除は、売上に対して当然に差し引ける必要経費とは違い、要件を満たしてはじめて差し引くことができる「(経費ではなく)控除」なのです(←ここを間違えてはいけません!)。

そのため、仕入税額控除を受けるためには、消費税法に定められた厳しい要件をクリアしなくてはなりません。

その厳しい要件とは、消費税法の第30条で定められていて、仕入税額控除を受けるために、帳簿等に記載しなければならない事項から、保存すべき資料まで、実に細かく記載されています。

一つ一つを説明すると、ものすごいボリュームになってしまいますので、詳しくはこちらをご覧頂ければと思いますが、前章でお話した必要な書類に絞って説明しますと、仕入税額控除の適用を受けるためには帳簿の他に、請求書、領収書、納品書など取引の事実を証する書類も併せて保存することとされています。

日頃からご相談をお受けしていると、仕入れなどで使ったクレジットカード明細だけを残しておられて、領収書を保管されていない方が結構おられますが、先の条文において、残念ながらクレジットカード明細は、この取引の事実を証する書類には該当しませんので、仕入税額控除の適用が認められず、消費税が還付されない可能性があるので注意が必要です。

消費税の還付申告をすると税務調査が入る?

日頃から、輸出入転売など、ネットビジネスの申告をたくさんやらせて頂いておりますと、経験上、色んなパターンや一貫性が見て取れるわけですが、必要書類の他にもう一つ重要なこととして、実は消費税を還付してもらうような申告書を提出すると、税務調査等が行われる可能性が高まります。

よくネット上などでは、

「消費税の還付申告は難しくありません」

といった内容がありますが、その謳い文句だけで安易に申告し、後から税務署から指摘をされ、弊社へ相談に来られる方も結構おられますので、ポイントとしては、特に消費税の還付申告の場合、申告書の「提出前」に税務調査を視野に入れた処理や資料の用意をしっかりとしておくことが重要になってきます。

そう書くと、もう還付はやめておこうかなと不安に思われる方がおられるかも知れませんが、取引が大きくなるに連れて、やはり無視できない金額になってきますし、事前にちゃんとした対策をしておけば何も恐がることはありません。

ちなみにせどり等、ネットビジネスの税務調査の実態や対処法については以下にまとめてありますので、あわせてご覧下さい。

関連記事>>>『せどりやアフィリエイトなどIT関係の税務調査の全貌を税理士が解説

「電気通信回線を介して行う役務提供の内外判定基準」の見直しについて

ここまで、主に還付について解説してきましたが、消費税に関して知っておくべきこととして、平成27年度の税制改正で「電気通信回線を介して行う役務提供の内外判定基準」というのが見直されました。

法律の文言なのですごく固い表現ですが、分かりやすく説明しますと、要は、インターネットのダウンロード販売やクラウドサービスを利用、もしくは提供した際に、その取引が国内取引になるのか、国外取引になるのかの判定基準が見直されたということです。

それまでは、サービスの提供元の会社の住所地等で判定していたものが、この改正以後は「サービスの提供を受ける側」の住所地等で判定されることになったのです。

身近な例に置き換えてみると、今までは私達日本の事業者等が、海外の販売会社から情報商材等をダウンロード販売で購入した場合には、国外取引として、消費税の課税対象にならなかったものが、国内取引として消費税が課税されるようになったのです。

逆に、私達が販売者の立場だとすると、今まではダウンロード販売での売上は、国内の消費者が相手でも、海外の消費者が相手でも、消費税の課税売上高だったものが、これからは海外の消費者向けに販売した売上高に関しては、消費税の課税の対象とならない売上高になったというわけです。

すごく複雑ですが、皆さんにとって最終的にどういったことが起こるのかというと、この判断を誤ってしまうと、消費税の(納付・還付を含めた)額に影響を及ぼすばかりか、そもそも消費税の課税事業者なのか、免税事業者なのかの判断も変わってきてしまうのです。

電気通信役務の提供とは何を指すのか?

では、具体的にはどういったものが関わってくるのかですが、国税庁では、電気通信役務の提供の範囲や制度の仕組み・留意点などについて「国境を越えた役務の提供に係る消費税Q&A」を公表しています。

それによれば、電気通信役務の提供に該当するものとして、

  • インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信
  • 顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
  • 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
  • インターネット等を通じた広告の配信・掲載
  • インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)
  • インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
  • インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
  • インターネットを介して行う英会話教室 など

とされています。

一方、電気通信役務の提供に該当しないものとしては、

  • 電話、FAX、電報、データ伝送、インターネット回線の利用など、他者間の情報の伝達を単に媒介するもの(いわゆる通信)
  • ソフトウエアの制作等(著作物の制作を国外事業者に依頼し、その成果物の受領や制作過程の指示をインターネット等を介して行う場合)
  • 国外に所在する資産の管理・運用等(資産の運用、資金の移動等の指示、状況、結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われる場合)
  • 国外事業者に依頼する情報の収集・分析等(情報の収集、分析等を行ってその結果報告等について、インターネット等を介して連絡が行われる場合)
  • 国外の法務専門家等が行う国外での訴訟遂行等(訴訟の状況報告、それに伴う指示等について、インターネット等を介して行われる場合)
  • 著作権の譲渡・貸付け(著作物に係る著作権の所有者が、著作物の複製、上映、放送等を行う事業者に対して、当該著作物の著作権等の譲渡・貸付けを行う場合に、当該著作物の受け渡しがインターネット等を介して行われる場合)

となり、通信そのものや情報や成果物をインターネットを介して送信するといった、他の資産の譲渡等に付随して電気通信回線を介する行為については該当しないこととなります。

この改正は、平成27年10月1日以後に行われる取引について適用されることになりますので、該当する取引をしておられる方は十分にご注意ください。

尚、これらと関連することとして、例えば中国からの輸入転売ビジネスでAmazonのFBAを使われている方や、GoogleAdWordsなどのPPC広告を使ってらっしゃる方も関係してきますので、これらについては以下の記事をご参照下さい。

《関連記事》
『税理士でも知らない?Amazonの消費税の落とし穴と対処法とは?』
『GoogleAdwordsの消費税に潜むワナと正しい申告法とは?』

請求書でチェックすべき重要なポイントについて

前章で電気通信回線を介して行う役務提供の内外判定基準」の改正についてお伝えしましたが、更に詳しく解説しますと、国外の事業者から電気通信利用役務の提供を受けた場合に支払った消費税については、一定の場合を除いて、当分の間、売上と一緒に預かった消費税から差し引くことが認められていません。

逆に言えば、この「一定の場合」に該当すれば国外の事業者に支払った消費税を差し引いて良いわけですが、この「一定の場合」に該当するためには、国外の事業者から発行された請求書や明細書に、

  1. 登録国外事業者の「登録番号」が記載されていること
  2. 「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」が記載されていること

が必要になります。

1.については、電気通信利用役務を提供する国外事業者が日本の国税庁に登録を行っているかどうかなのですが、登録された国外事業者であれば、発行された明細書や請求書に登録番号の記載があるはずですし、登録国外事業者については国税庁のホームページでも確認することができます。

関連リンク>>>登録国外事業者名簿

2.の「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」の記載についてですが、これは税法条文の文言なので固い表現がされていますが、簡単に言えば、登録国外事業者が、日本の消費税については当方で納税しますよという意思表示がされているかどうかということです。

意思表示と言われても…という方のために、Amazonの手数料明細を例にとって具体的に見てみますと、Amazonの手数料明細の最後の方に、

「Amazon Services International, Inc.は消費税法における「登録国外事業者」ですので、上記Amazon.co.jpの出品サービス(電気通信利用役務の提供)における販売手数料等のサービス料に対して、消費税の納税義務があります」

と記載があり、これが2番に該当します。

ただ、国外事業者によってはこのような明確な記載がないケースもあるようで、そういった場合には、請求書や明細書等の記載内容から消費税を納税する意思表示を判断することになります。

実際に税務署から指摘を受けた例

先ほど、消費税の還付申告を行うと税務調査が入りやすくなるとお伝えしましたが、同じような過ちを犯さないよう、実際にあった具体例をご紹介しておきましょう。

ある方は、国内で仕入れた商品をeBayで販売するというビジネスを行っておられたのですが、こういったビジネスモデルの場合、消費税の還付をすることが可能なことを、以前にあるサイトを見て知っていたので、ご自身でサイトに書いてあるやり方通りに消費税の還付申告をされました。

消費税は無事に還付されたのですが、後日、税務署から荷造運賃の内容について問い合わせがあり、荷物を発送した際の送付ラベルを持参して税務署に行ったところ、申告内容の誤りを指摘され修正・納税をすることになりました。

皆さん、何がいけなかったのか想像がつかれますか?

還付額(消費税)の計算は簡単に言えば、

「販売の際に預かった消費税額 - 仕入や経費で支払った消費税額」

で計算するのですが、この例では荷造運賃の中に、国内への送料と海外への送料が混在していたにも関わらず、海外への送料についても消費税を支払っているものとして、計算してしまっていたのです。

送料は、宛先が国内の場合は消費税の課税される取引ですが、宛先が海外の場合には、消費税の対象とならない取引であるため、しっかりと区別して処理をすることが重要です。

結果、正しい金額よりも多く還付を受けてしまい、税務署に呼び出されることとになったというわけです。

今回、取り上げた送料は、最も基本的な部類に入りますので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、インターネットを使った物販等の世界では、実は我々税理士などの専門家でも、よほど詳しい人以外は判断を誤ってしまいがちなものが非常に多く存在します。

例えば、

  • 口座に関して、Paypal、Payoneer、unionbank、普通預金口座の手数料の違いがわからない(もしくは、すべて同じ処理をされている)
  • 広告費に関して、GoogleとYahoo!に支払う手数料の違いがわからない(もしくは、すべて同じ処理をされている)
  • クレジットカードの決済手数料は、すべて同じ処理をしている(もしくは、カード会社との契約内容を理解していない、又は、確認したことがない)

税理士や会計士に任せていても、間違えられて指摘を受けることがあるようで、弊社にもよく相談が寄せられるのですが、これらは税務署から明らかに指摘されるポイントですので、間違えないように気を付けて下さい。

輸出入ビジネスで関税を使った危険な節税法とは?

これも、税務署から指摘をされた方から相談を受けた例ですが、海外と取引をしていると、消費税の他に関わってくる物として「関税」があります。

皆さん税金はなるべく抑えたいと思われるようで、何とか関税を安くしようといろいろ調べた結果、インボイスに適当な金額を書いているなんてことを耳にするケースもあり、実際にインターネットで検索をしてみると、そのような情報が氾濫しています。

仕入れる側の立場としては関税が安いほうがいいですし、売り手側の立場としては、お客様から関税を安くしたいので、低めの金額を書いてくれと依頼されることもあるようです。

ですが、実はこの行為はとても危険です!

そもそも関税も税金なので、虚偽の申告を行って負担を減らせば、それが見つかった時には、当然、加算税などのペナルティが課せられます。

「今まで税関で調査をされたなんてこと一度もないよ」

という方もおられるかも知れませんが、それは、まだ事業を始めたばかりで規模が小さかったため、見逃されていただけかもしれませんし、税務署は数年分をまとめて調査に入ることもしばしばですので、泳がされているだけという可能性もよくあります。

実際に、その感覚のままビジネスの規模が大きくなり、ある時、税関で調査をされ、追加の関税とペナルティの加算税をしっかり徴収されたという話も業界内ではよく聞きます。

適当な書類を作成することは、節税対策ではありません!

まとめ

還付申告を行うと、税務調査に入られる可能性が高まるとお伝えしましたが、仮に還付を行わずにいても、数年後に税務署が入って調べられた時にそういうことが見つかれば、結局、ペナルティーや加算税が課せられてしまいますので、事前にしっかりと正しい手続きをした上で、堂々と還付申告をするのが、最も効率的に節税できると言えるでしょう。

尚、消費税について、申告書の具体的な書き方については以下の記事をご覧下さい。

関連記事>>>『図解!失敗しない消費税の中間納付や計算方法と申告書の書き方を解説』

その他、転売やせどり等の物販ビジネスの、具体的な節税法については以下をご参照下さい。

関連記事>>>『知らないと損?アフィリエイトやせどり等ネットビジネスの節税法とは?』

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