開業届

確定申告の時期が近づいて来ると、全国のIT関係の方々や、またアフィリエイトやせどり、転売物販などのネットビジネスをされている皆さんから、それらの申告に関するメールやお電話での問い合わせが一気に増えて来るのですが、中には

「まだ個人事業としての開業届も提出しておらず、何をどうすれば良いのかよく分かりません……」

とおっしゃる方もおられます。

なので今回は、個人事業として開業されるために必要な書類の書き方や手続きについて、基本的なことから解説していきたいと思います。

 

開業届を提出していなくても確定申告は必要?

まず、毎月の無料相談会や、メールやお電話での問い合わせでも、皆さんの中で意外と気にしておられるのが、

「個人事業の開業の届出書を提出していないけれど大丈夫だろうか?」

ということです。

中には、

「開業の届出書を提出していないので、今年は申告しなくても大丈夫ですか?」

なんていう方もおられました……。

結論から申しますと、開業届出書の提出の有無と確定申告の要否は全く関係ありません。

一般的に、年間を通して専業でビジネスをされている方であれば、最低38万円超、サラリーマンで副業の方であれば20万円超の利益が出ているようであれば、確定申告をしなければならないことになります。

確定申告が必要な人と不要な人の条件とは?

但し、上記の基準はあくまで一般的な原則です。

2箇所以上から給与の支給を受けている場合や、還付申告をする場合などは、例え1円でも確定申告をする必要がありますので、充分にご注意ください。

それらについては、以下に詳しく解説していますのでご参照下さい。

関連記事>>>『知らなかったでは済まない!ネットビジネスの正しい税金対策法とは?』

開業届などの必要書類を提出する

では、実際にどういう手続きを行っていけば良いのかについて解説していきましょう。

開業届けの書き方

まず、個人事業を開業した場合には、「開業届」を税務署に提出する必要があるわけですが(されていない方は今からでも行って下さい)、

書き方については様式が決まっていますので、実際の書面を見て埋めていけば、迷うことは恐らくないでしょう。

開業届けを手に入れるには?

書類自体は、最寄りの税務署にありますので、そこへ直接出向いて手に入れるか、もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることも可能ですので、それを出力し、必要事項を記入した上で、最寄りの税務署に提出するようにしましょう。

その際、特に専業で事業をされる方など、「雑所得」ではなく「事業所得」として申告を行う場合は、決められた期間内に「青色申告承認申請書」を提出することで、より節税に有利な青色申告を行うことが可能になります。

ただしいくつか条件がありますので、以下に紹介致します。

白色申告と青色申告の違いについて

上記で少し触れましたが、個人の確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。

色々と違いはありますが、青色申告は、白色申告に比べて税金が安くなる国が定めた制度のことです。

なので、無料相談会でも

「白色ではなく青色申告をしようと思っているんですが……」

とおっしゃる方は非常に多いのですが、違いをよく分からずに判断しておられる方も多いので、それらについてお伝えしておきます。

  • 白色申告は簡易な簿記による記帳でOKだが、青色申告は正規の簿記の原則による 記帳義務(複式簿記)があるため、それに則って申告する必要がある。
  • 青色申告には「青色申告特別控除」があり、所得から、毎年65万円を差し引くことが可能。
  • 青色申告の場合、損失の繰り越しと繰り戻しが可能 (個人事業の場合、開業して1~2年は赤字というケースもよくあるが、青色申告だと赤字を3年間繰り越すことができる)。
  • 青色事業専従者給与の必要経費算入……青色申告の場合、家族に支払った給料を一定の条件の下、支払った金額で経費として落とせるというものです。
  • 白色申告だといくら給料を支払っても50万円(配偶者の場合は86万円)しか経費として認められません。
  • 貸倒引当金の計上……売掛金や未収入金などの貸し倒れによる損失に備えられるよう、これらの金額の合計額に対して5.5%を費用に出来るという制度。白色申告の場合は経費になりません。

以上のような違いがあります。

一見、白色申告に比べて青色申告の方が有利なように見えますが、単にどちらかを選ぶだけでなく、もちろん条件もあります。

まず、青色申告が出来るのは「事業所得」のみで、「雑所得」の方は出来ません(雑所得に青色申告はありません)。

そして青色申告をするためには、開業してから2ヶ月以内、もしくは業務開始がその年の1月15日以前の場合は、3月15日までに、税務署へ「青色申告の承認申請書」を提出しなければなりませんので、希望される方は忘れずに出すようにしましょう。

更に、青色申告は複式簿記が必要になります。

これを軽く考えておられる方が非常に多いのですが、個人で事業をやりつつ、複式簿記をつけていくのは、結構面倒な作業になりますので、よく確定申告の時期が近づいてくると、

「そろそろ領収書まとめなければ……」

「帳簿が溜まってる〜〜〜」

といった悲痛な叫びを聞かれたことのある方も多いかも知れません。

弊社と契約をされている方は、節税対策や税務調査対策も踏まえた上で、日頃の領収書の整理から帳簿作成まで、全て丸投げで、こちらでやらせて頂いておりますので、特にその時期でも気にされることはありませんが、ご自身でされている方の場合、年末から年明けにかけてから、確定申告を済まされる3月頃まで、それらのことに意識や時間をとられて、本業にかけられるパワーが削がれていたとおっしゃる方がおられたり、大変なので、結局白色申告に戻したという方もおられます。

本業に差し支えていては本末転倒ですので、そういったことも知った上で、選択するようにしましょう。

開業時やそれまでにかかった費用も経費として計上出来る?

ご相談者さんのお話を伺っていますと、開業届けは出したものの、それまでに使った準備費用などについては、必要経費に計上されていない方が結構おられます。

開業するためにかかった準備費用というのは「開業費」として経費計上することが可能です。

但し、何でもかんでも計上出来るわけではなく、きちんと根拠をもって行わないと、後から税務署に指摘されたり、調査が入る可能性もありますので注意しましょう。

関連記事>>>『せどりやアフィリエイトなどIT関係の税務調査の全貌を税理士が解説』

開業費をお得に計上するための方法とは?

では税務署から指摘されずに、お得に開業費を計上するためのポイントですが、一つは、開業費というのは税法上「繰延資産」といい、事業開始年度に計上しなくても、任意の年に計上することが出来ます。

ということは、実業では特によくあることですが、初年度は初期投資に費用がかかったり、軌道に乗るまでに時間がかかってしまうことで、思いの外利益が少なかったり、場合によっては赤字になることもあることでしょう。

そういう時には、その年に計上するのではなく(経費を計上しなくても、既に利益が少なかったり赤字になったりしているので)、翌年以降の利益が増えてきた段階で、繰越資産としてとっておいた開業費を、経費として計上することで、その年の税金を減らすことが出来るというわけです。

ただ、一つ注意点としては、この開業費というのは個人と法人では扱いが違うのと、お伝えした通り節税対策にもなるので、税務署からすると、目を付けやすいポイントであったりもします。

この辺りは個々によりケースが異なりますので、一概に対策をお伝えするのは難しいのですが、もし不安な方は、弊社に限らず、節税対策や税務調査対策のスキルに長けている税理士などに、事前に相談されるのも良いでしょう。

まとめ

今回は開業届けやそれに付随する内容についてお伝えしましたが、ポイントとしては、開業届出書の提出の有無と確定申告の要否は全く関係ないということ。

次に、白色申告と青色申告の違いをよく理解した上で、どちらかを選択することが大切だということ。

そして、開業費を経費として計上する場合、事業を始める前からそれは始まっているということ。

それらを理解した上で、賢く選択されることが長く続けていく上で大切だと言えるでしょう。

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