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フリーランスの消費税

このページをご覧になられている方も、日頃から買い物の際などに、消費者として消費税を支払っておられるかと思いますが、フリーランスになると、今度は事業者として消費税を預かり、その預かった消費税を納税する立場になります。

所得税や法人税は、儲け(所得)に対して税率を掛けて計算されますが、消費税はこれらの税金とは少し性質が異なるため、今まで消費者という立場で深く考えずに支払っていた消費税に対して、フリーランスという立場になって初めて、いろいろな疑問を感じらることも多いようで、毎月の無料相談会でもよく聞かれます。

そこで今回は、フリーランスにとっての消費税とはどういったものなのか、基本的なことから解説していきましょう。

 

そもそも消費税とは?

日本においてもすっかり定着した消費税ですが、そもそも消費税とは一体何なのでしょうか。

「100円のモノを買う時に支払っている108円の、その8円のことでしょ?」と思われた方……正解です。

消費税とは、商品の購入やサービスの提供などの「消費」に対して課税される税金のことで、このことは消費税法の第4条で定められています。

(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
【消費税法第4条第1項より】

商品の購入だけでなくサービス(仕事)の提供も「消費税の対象」ですので、フリーランスの皆さんが提供しているサービス(仕事)についても消費税はもちろん課税されます。

そして、事業者には消費税を納める義務がありますので、フリーランスは消費者に代わって消費税を納税しなければならないのです。

”(納税義務者)
第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。
【消費税法第5条第1項より】”

フリーランスでも消費税を納めなくて良いケースとは?

フリーランスには消費税の納税義務がありますが、実は、全てのフリーランスが消費税を納めなければならない訳ではありません。

消費税法には「納税義務の免除」という特例があり、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。

フリーランスの場合、基準期間とは原則として前々年の1月1日から12月31日までをいいますので、例えば平成30年(平成31年3月納付分)について、自分が消費税を納めなければならない事業者なのかどうかを判断するには、平成28年の売上(正確には課税売上高)が1,000万円を超えているかどうかを確認すれば良いということになります。

ただし、平成25年以降は消費税法の改正により、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合には、その年から消費税を納めなければならないこととなりました。

つまり、もう一度整理をすると、平成28年1月1日から12月31日までの売上(正確には課税売上高)が1,000万円以下で、かつ、平成29年1月1日から6月30日までの売上(正確には課税売上高)が1,000万円以下であれば、平成30年(平成31年3月納付分)は消費税の納税が免除となります。

尚、今回は基本的なことを解説していますが、消費税の納税義務の判断は非常に複雑で、上記以外にも気を付けなければならないポイントがたくさんあります。

ご自身での判断が難しい場合は、事前に税理士等の専門家に相談されることをお勧めします。

免税事業者であるフリーランスでも消費税を請求して良いの?

前章でお伝えした通り、フリーランスの中には消費税を納めなくても良い方がいらっしゃるわけですが、そうなると、無料相談会でも次のような疑問が湧いてこられる方が結構おられます。

「自分は消費税を納めなくてよい(免税事業者)なのだけれど、お客さんや取引先から消費税を請求して良いのでしょうか?」

これは、消費税の基本的な質問の中では非常に多い問い合わせなのですが、結論から言うと、例え消費税を納めなくて良い事業者(免税事業者)だとしても、消費税を請求して全く問題はありません。

なぜならば、免税事業者だからといって消費税を請求しなければ、消費税というものがなかった場合に比べて、利益が減ってしまうからです。

具体的に考えてみましょう。

仮に、消費税という税金がなかったとします。

50円のモノを仕入れて100円で販売した場合の利益は、100円-50円=50円になりますよね。

この場合と比べ、消費税を考慮した場合、もし免税事業者だからといって消費税を請求しなければ、

同じモノを54円で仕入れて100円で販売することになりますので、その場合の利益は、100円-54円=46円と消費税がない場合と比べて減ってしまいます。

そもそも消費税には益税・損税という問題があり、この点についてはいろいろと議論がされる部分でもあるのですが、消費税が導入されることにより免税事業者だからといって損をしなければならない(利益が減ってしまってもよい)という理由にはならないのです(益税・損税については少し難しい議論になりますので、今回は割愛させていただきます)。

実際に皆さんも、免税事業者か課税事業者かに関わらず、仕事に必要なパソコンの購入やその他経費の支払などは、消費者として消費税を負担して購入しているはずです。

自分は免税事業者だからといって損をしなければならないということにはなりませんので、免税事業者か課税事業者かに関わらず消費税を請求して大丈夫なのです。

源泉徴収されるフリーランスの消費税の取り扱いについて

消費税に関する基本的な質問の中でもう一つよく聞かれるのが、源泉徴収に関することです。

フリーランスの受け取る報酬の中には、源泉徴収の対象となるものがあります。

源泉徴収とは、報酬の支払者に報酬額の10.21%(報酬額が100万円以下の場合)を差し引いてもらうことですが、自身の報酬の内容が源泉徴収の対象である場合、10.21%を掛けるのは消費税込みの報酬額でしょうか。それとも、消費税抜きの報酬額でしょうか。

※源泉徴収制度について、詳しくは以下の関連リンクをご参照ください。

関連リンク>>>『税理士が分かりやすく解説!フリーランスの税金と源泉徴収のやり方』

源泉徴収の対象となる金額は、原則として、報酬・料金として支払った金額の全部とされていますので、消費税込みの金額が対象となります。

つまり、相手に請求する報酬の総額が108,000円である場合には、源泉徴収税額は108,000円の10.21%相当である11,026円(1円未満切捨て)となり、最終的な請求額は96,974円となります。

ただし、請求書等に報酬・料金の金額と消費税の額とが明確に区分して記載されている場合には、消費税を除いた報酬・料金の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えないこととされています。

例えば、相手に請求する報酬の総額が108,000円であっても、請求書の記載が、報酬100,000円、消費税8,000円と区分されている場合には、源泉徴収税額は100,000円の10.21%相当である10,210円として、最終的な請求額は97,790円としても差し支えないということです。

ちなみに、こうして見ると消費税を区分して記載した方が受け取る金額が多くなって得をすると考える方がいますが、源泉税はあくまで確定申告前に仮に徴収されているといったイメージですので、きちんと確定申告をすれば、どちらが得ということはありません。

まとめ

消費者であればモノを購入する際やサービスを受けた場合に、その料金の8%を支払っていただけの消費税ですが、フリーランスになれば、消費者とはまた違った立場で消費税と関わっていかなければなりません。

消費税法は非常に複雑な税法でもありますので、自分ひとりでは判断に迷ってしまうことも多いかと思います。

そのような時は、放っておいて後で税務署から指摘をされたり、ペナルティを課せられることのないよう、確定申告の前に、管轄の税務署や、無料で相談を受け付けている、その業界に詳しい税理士等に相談してみても良いでしょう。

尚、今回は消費税について基本的なことから解説致しましたが、消費税の計算などについては、以下にまとめてありますので併せてご参照ください。

関連リンク>>>『ネットビジネスの消費税計算、簡易課税、還付について税理士が解説!』

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